居室番号:A301号室
TEL/FAX : 0143-46-5387
E-mail : okuizumi@muroran-it.ac.jp
専門 | 宇宙構造物工学・振動工学 |
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出身 | 東京工業大学大学院 |
前職 | JAXA |
担当授業科目 | 学部:航空宇宙構造工学Ⅱ,航空宇宙工学実験,宇宙機設計法,大学院:航空宇宙構造工学特論,生産システム工学概論 |
研究室名 | 宇宙構造物工学研究室 |
・当研究室では,主に衛星や探査機(宇宙機)に搭載される宇宙構造物の動力学に関する研究を行っています. 特に,衛星や探査機に搭載される太陽電池アレイやソーラーセイルなど,ロケット打ち上げ時は小さく収納されていて, 打ち上げ後に大きく展開される展開膜面構造物の基本設計の検討,展開時や展開後の力学特性の数値解析,実験モデルの試作と地上実験など,様々な研究に取り組んでいます. また,宇宙機のタンク内の推薬を排出するための膜構造(ダイアフラム)の変形挙動や振動特性の解明と設計,搭載機器の振動衝撃の緩和や,非線形性を含む構造物の振動に関する研究なども行います.
以下の研究はJAXA宇宙科学研究所において行ってきたものですが,当研究室に合わせた形で継続していきます.
弾性変形によって巻き付け収納された伸展ブーム(柔軟梁)が復元することによって,折り畳み収納された膜面を動的に展開する軽量展開膜面構造物の研究開発を行っています.伸展ブームで展開される膜面構造物には,衛星や探査機の太陽電池パドルやソーラーセイル,デオービットセイル,アンテナなど様々な応用可能性があります.巻き付け収納が可能な伸展ブームの構造特性や,ブームの収納伸展と整合した膜面の収納展開法,地上実験法,展開シミュレーション法,振動解析法など,基礎研究や実用化に必要な研究を進めています.JAXAや大学,メーカーと協力し,小型宇宙機用のソーラーセイルや軽量太陽電池膜などの宇宙実証を目指した研究開発にも参加しています.
遠心力展開型膜面構造物は,膜面を回転させることによって遠心力で展開します.ブームが不要なため,軽量化や大型化に有利と考えられています.しかし,地上での大型膜面の遠心力展開実験は不可能なため,数値シミュレーションや小型モデルを用いた実験などによって挙動を予測する必要があります.そのため,膜面の展開挙動や展開後の振動特性,展張形状の解析や実験などの様々な研究を行っています.
折り畳み可能な膜面構造物に用いられる薄膜は,曲げ剛性が微小なため,大変形や座屈(しわ)が発生しやすく,非線形有限要素法による詳細な解析は容易ではありません. そこで,膜面の曲げ剛性を無視し,面内特性をばね・質量・ダンパ系で近似して構成される運動方程式を陽解法で数値積分することによって,膜面全体の挙動の高速な数値シミュレーションを可能とする多粒子近似法の研究を行っています.
ダイヤフラムは,ガスの圧力によって潰れながらタンク内の推薬を押し出す半球状の薄肉構造です.JAXAの小型月着陸実験機SLIMでは,機体の軽量化のため,従来の金属製に替わるPTFE樹脂製の酸化剤タンク用ダイアフラムを開発しています.非線形FEM解析や試作試験によって,軽量で排出中に軸対称形状を保ち,液体の重心変動が小さいダイアフラムの構造を研究しています.また,タンク内液体の振動特性は,飛翔中の機体の安定性に影響するため,樹脂製ダイアフラムで覆われたタンク内液体の振動特性を振動試験や流体構造連成解析によって検討しています.