卒業論文の書き方について

  1. はじめに (このページ)
  2. 文体
  3. 章立て
  4. 表現
  5. 参考文献

1 はじめに

 科学技術の論文を書くのは、小説・随筆とは大きく異なっており、科学技術用の文章作成をテクニカル ライティンングと呼ぶことがある。テクニカル ライティングとは主として科学・技術的な内容を、論理的かつ分かりやすい文章に書く技術である。特に科学論文を書く際には、その研究で得られた実験事実や結果などを明確に記述し、論理的な何が分かったのかを客観的に述べることが大切である。
  科学論文の書き方は、一般生活の言葉と同様、時代と共に変わっており、昔は厳格なルールに近いものがあったが、現在は比較的緩くなっている部分もあり、科学者やソサエティの年代によって異なることが多い。これからまとめるのは、ほぼ全ての科学者がルールとして守っているものから、それぞれの学術分野で望ましいとされる規則、ほぼそのソサエティの文化に近いものまでを、あまり区別することなく述べていく。

2 第1章(緒論, 背景)は、質・量ともにしっかり書く

 投稿論文の場合は、Introductionの文章量は論文全体のバランスも考慮しながら必要な内容(後述)を書く。しかし卒論、修論の場合は、その研究テーマを取り組むにあたり、どれだけ勉強して社会的な背景や先行研究を整理したのか「テーマ・研究目的に関する研究分野の集録」としての意味合いも強くある。従って、この章では研究を着手するにあたって勉強した内容を広く、深く記述して欲しい。(近年、ここが短い卒論が散見されるが、評価する立場としては卒論の質を示す重要な部分である。)

3 確かな情報の参考文献の収集にはかなりの時間を要する

 研究を始めるにあたって、社会的背景や自分の分野の先行研究例を整理することはとても大切な作業である。また文献によっては他機関からの複写依頼に時間を要するものもある。いざ卒論を書き始めるときに参考文献をかき集めるのは手遅れになる。
またreview (総説論文)や解説記事をコピペして、その論文の参考文献まで丸写しすることを通称「孫引き (二次
引用)」という。review記事を読んで卒論の参考にすることは決して悪いことではないが、あたかもその参考文献を (読んでないのに)読みましたと言わんばかりの記述は控えて欲しい。

  1. 参考文献は自分が参考にした文献である。
    •  review記事を参考にした場合は、そのreview記事を参考文献にするか、またはその根拠となる文献を必ず読む。
  2. インターネットにしかない情報かつ確かな出所のみ引用可
    •  公的団体の報告書や企業の製造物や専門的な知見については、参考にしても構わない。
       一方で、企業のサイトの中にもブログ的に確かな情報ではない記事が書かれているものもあり、見極めは必要である。
    •  個人のHPやまとめサイトのように、根拠が明らかでないもの、二次転載の記事で出所が明らかでないものなどは参考にすべきでない(けっこう間違っている)。
[文体]につづく