日時

令和6年3月25日(月)-3月27日(水)

場所

室蘭工業大学 教育・研究2号館(Q棟)4階 数学ゼミナール室(Q402)
住所:室蘭市水元町27-1

講演者&講演要旨

講演者: 寺本圭佑 氏 (山口大学)
講演題目:擬球的波面とその焦面について

講演要旨

3次元ユークリッド空間内のガウス曲率が負で一定な曲面を擬球的曲面という。基本的な擬球的曲面にベルトラミの擬球というものがある。これは、追跡線と呼ばれる平面曲線の回転面として得られる。この追跡線の縮閉線(焦線)は懸垂線であり、このことからベルトラミの擬球の焦面は極小曲面である懸垂面だとわかる。この例から、擬球的曲面の焦面が極小曲面となることがある。一方、ヒルベルトの定理から、完備な擬球的曲面の3次元ユークリッド空間へのはめ込みは存在しないことが知られており、一般に擬球的曲面は特異点を持ちうる。
これらを踏まえ、本講演では、ある種の特異点を許容する擬球的曲面である擬球的波面の焦面について扱う。特に、擬球的曲面の焦面が極小曲面になるための条件や、その条件を満たす擬球的波面のクラスについて解説する。また、焦面が極小曲面となるとき、その極小曲面の対応するワイエルシュトラス・データについても紹介する。本講演は、軸丸芳揮氏(東洋大学)との共同研究に基づく。

講演者: 赤嶺新太郎 氏 (日本大学)
講演題目:3次元ミンコフスキー空間内の時間的極小曲面について

講演要旨

3次元ミンコフスキー空間内の時間的曲面で,その平均曲率が恒等的に消えているものを時間的極小曲面という.ここで,時間的曲面とはミンコフスキー空間からの誘導計量がローレンツ計量となる曲面のことであり,それらの曲面はリーマン計量を備えた曲面とは異なる様々な性質を有している.例えば,時間的曲面に顕著な性質として型作用素の対角化可能性に関するものがあり,実曲面を考えているにも関わらず主曲率が複素数になることがあるほか,曲面上に擬臍点と呼ばれる型作用素が対角化可能でない特殊な点が発生する.
本講演では,そうした不定値計量特有の事情からくる時間的極小曲面の諸性質を考察する.とくに,時間的極小曲面にはどのような特異点が現れうるのか,特異点の微分同相型と曲面の主曲率の間にはどのような関係があるのか,といったことや従来のユークリッド空間内の極小曲面などが備えていた等長変形に関する剛性(Schwarzの剛性定理と呼ばれる)は,曲面が不定値計量を備えている場合においては成り立つのかといった話題を紹介する.

プログラム

3月25日(月)

 14:00-15:00 寺本氏 -- Overview (兼 室蘭工大数理科学談話会)
 15:15-16:15 赤嶺氏 -- Overview (兼 室蘭工大数理科学談話会)

3月26日(火)

 10:00-11:30 寺本氏 -- Part 1
 (昼休み)
 13:00-14:30 赤嶺氏 -- Part 1
 15:00-16:30 寺本氏 -- Part 2

3月27日(水)

 10:00-11:30 赤嶺氏 -- Part 2
 (昼休み)
 13:00-14:30 寺本氏 -- Part 3
 15:00-16:30 赤嶺氏 -- Part 3


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本研究会は

  室蘭工業大学研究ユニット予算

の援助を受けて開催されます.


世話人
可香谷隆,加藤正和,高橋雅朋,内免大輔
(室蘭工業大学ひと文化系領域数理科学ユニット)