第19回 / 令和6年2月15日(木) 14:00~ 16日(金) 15:30
場所:室蘭工業大学 教育・研究2号館(Q棟)4階 数学ゼミナール室 Q402

講演者&講演要旨

講演者:高棹圭介 氏 (京都大学)
講演題目:Brakkeの平均曲率流の障害物問題

講演要旨

$\Omega$を滑らかな境界を持つ有界領域とし、$O \subset \subset \Omega$を境界が滑らかな開集合とする。 本講演では、Neumann境界条件下でのBrakkeの平均曲率流の障害物問題、即ち弱い意味でNeumann境界条件を満たす$\Omega$内のBrakkeの平均曲率流に、曲面が障害物$O$の内部に侵入できないという条件を課した問題を考える。 $\Omega$が全空間のときは、Mercier(2014、プレプリント)によって粘性解の存在定理が得られている。$\Omega$がn次元トーラスのときは、Ishii--Kamata--Koike(2017)が粘性解の、Takasao(2021)がBrakkeの平均曲率流の存在定理を得ている。 それに対し今回は、$\Omega$が滑らかな境界を持つ有界領域で、$O$の境界が$C^{1,1}$級のとき、弱い意味でNeumann境界条件を満たすBrakkeの平均曲率流が時間大域存在することを示す。 本結果はKaterina Nik氏(University of Vienna)との共同研究である。 前半は、弱解の構成で用いるフェイズフィールド法について説明し、後半は、障害物に相当する劣解、優解について説明する予定である。また、時間が許せば、フェイズフィールドモデルの特異極限からrectifiable varifoldが得られることについて解説を行いたい。

講演者:吉澤研介 氏 (九州大学)
講演題目:On critical points of the p-bending energy

講演要旨

平面内の曲線に対し, 曲げエネルギーと呼ばれる量が曲率の L^2-ノルムで定義される. 曲げエネルギーの (適切な束縛条件の下での) 臨界点は弾性曲線と呼ばれ, その研究の歴史は18世紀の Euler の時代まで遡る. 近年, 曲率の L^p-ノルム (p>1) により定義される p-曲げエネルギーと呼ばれる量に対しても, 幾何学的な側面や非線形性に由来する解析学的な興味, 画像処理への応用という観点などから様々な研究がなされている. 本講演では, 曲線長一定という束縛条件の下での p-曲げエネルギーの臨界点に対して, 前半では新たな一般化楕円函数を用いた分類定理, 及びそこから得られる定性的性質を古典的な結果を概観しつつ述べ, 後半では安定性について得られた結果を述べる. なお, 本講演は三浦達哉准教授 (東京工業大学) との共同研究に基づくものである.

プログラム

2月15日(木)

 14:00-15:30 高棹圭介 氏 (京都大学)
 15:45-17:15 吉澤研介 氏 (九州大学)

2月16日(金)

 10:30-12:00 高棹圭介 氏 (京都大学)
 (昼休み)
 14:00-15:30 吉澤研介 氏 (九州大学)


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本研究会は

  室蘭工業大学研究ユニット予算

の援助を受けて開催されます.


世話人
可香谷 隆, 加藤 正和,内免 大輔
(室蘭工業大学ひと文化系領域数理科学ユニット)