ラボノートについて
適切な形でデータやアイデアが記入され,管理されたラボノート(実験ノート)は、少なくとも三つの重要な役割を果たします。
① 研究が公正に行われていることを示す証拠になります。
② 研究の成果が生まれた場合,その新規性を立証する証拠になります。
③ 第三に,研究室や研究グループ内でデータやアイデアを可視化し,共有し有効に活用する方策の道具となります。
社会にでてからも必要な習慣・スキル
上述の役割は研究のためだけでなく、会社に入ってからも知的財産の保護、社内の情報共有の可視化に重要です。技術系、営業系などの会社によらず、ラボノートは場合によっては名を換えて、技術ノート、業務管理ノートなどとして日々各自の行動記録を上司に書面などで報告することになります(出勤簿、日報とはことなる)。
研究室でも実験ノートの記録は必須ですが、なるべく詳細を丁寧に書く技術や習慣を身につけましょう。
■ 定期的(毎週)に亀川が内容をチェックします。
・ポスドクのオさんに代理を頼むこともあります。
■ 卒業時に提出する。
道具について
■ ノート
・研究室で専用のノートを配布します。
(ページを後で差し替えできない糸綴じのものを使用しています)
・ルーズリーフなどは、自分用のメモとしていったん書いておくのはかまいませんが、後で(その日のうちに)ラボノートへ書き写しましょう。
(なるべく、やめた方が良い。メモもラボノートを使えば良い。)
・書き損じたり、謝って空白ができても、ページの一部または全部をちぎり取らない。×印などにとどめ、その部分が謝りであることを明記する。
■ 記入には、修正できないようインクを使ったボールペンなどを使う。
・フリクションなど消せるボールペンや鉛筆は禁止。
■ 修正ペンの使用は禁止。
・間違いや誤りがあったとしても、線を引いて消すにとどめ、後で読めるようにしておく。
(誤りと思ったデータ・アイデアが実は正しかったということがある。)
■ 紙を貼り付ける場合は、後で剥がれないようしっかり留める。
・実験データ(特に生データ)や文献の一部などをラボノートに貼り付けても構いません。
・はみ出す場合などは、次のページに移ったり、ページをまたぐ場合は切り分けるなどして、なるべくページ内に納まるようにしましょう。
記入について
■ 研究室在室中の活動記録を、毎日ラボノートに記録する。
・その日のうちに記録する(書いてから帰宅する)。
■ 時系列に順番に記入し、空白のページや時間の逆行がないようにする。
■ 後で書こうとして予めページを飛ばして記載することも禁止。
■ 期待したデータがでなくても、書き換え・消去しない。
■ 実験準備に算出した数値(原料の秤量計算など)や、実験中に得られた数値、測定データなどを記録する。
・例えば実験結果について聞かれた際、ラボノートを見れば答えられるように、データの要点を記録しておく。
■ きれいな字は求めないが、他人が読んで分かるように書く。
記録する内容について
■ 研究室の1日の最初はラボノートに日付と登校時間を書くことから始める。
■ 研究室在室中の活動記録を、毎日ラボノートに記録する。
記録する内容は例えば、
・調査した文献や、検索したキーワードなど。
・特に参考になった文献のタイトルや、記事のコピー(貼り付け)。
・実験の計画、予定。
・実験の準備状況(秤量計算など)。
・実験中に気づいたこと。
・実験データの概略や生データ。
・打合せやゼミでの指摘事項。
・思いついた研究や実験のアイデア。
など
■ 秤量の記録
・実験試料の重さは計算値、実測値など事細かに記録する
→ 秤量計算は、仕込み組成と、少なくとも計算結果(各原料の必要重量)は記録する。
→ 実際に秤量した各原料の天秤が示した重量を必ず記録する。
→ 合成した試料の重量もなるべく記録する。
(アーク溶解インゴットは必須)
■ 試料の外観など
・外観、色、破断面など、測定装置などの数値データとして残りにくいものは、記録する。
・特に高圧合成の試料は、色目や外観でみる均質性などで、合成された化合物の化学結合性や化学量論性を議論できる場合がある。
・溶製インゴットは、試料上部の外観、破断面などで、出現相の変化や酸化物の出現などが予測できることがある。
追加の書き込み中
■ ラボノートに一日の行動についてまとめて、最後に帰宅時間と「帰宅」と示して、ページを横断する線で締める。
(以下、そのページは使用しない)