研究内容

電気機器の自動設計・トポロジー最適化

従来は熟練の技術者しかできなかった電気機器の設計を、コンピュータ上で自動的に実施する人工知能の研究にも取り組んでいます。特に深層学習や強化学習といった「機械学習」手法を活用し、人間の設計手順をコンピュータ上で学習させたり、さらにコンピュータが自ら試行錯誤的に設計を繰り返して自動的に賢くなっていくような、データ駆動型の自動設計手法の実現を目指しています。

電気機器のデータ駆動型自動設計

また、電気機器(モータや発電機)の性能を向上するには、先入観に囚われない斬新な新設計が必要です。そこで「トポロジー最適化」の研究に取り組んでいます。トポロジー最適化とは、人間が指定した範囲の機器形状をコンピュータ上で自由に変化させ、良い形状を半自動的に発見させる数値最適化手法です。この方法を研究することで、自動車用モータや新型発電機の新規構造の発見を自動で発見することを目指しています。

磁気シールドの最適化 永久磁石同期モータの最適化

エナジーハーベスト(環境発電)

我々の身の回りには大小含めて色々なエネルギー源があります。代表的なものでは、風力や太陽光などを用いた発電システムがあり、自然エネルギーの導入拡大に向けて様々な研究開発が進行しています。このような大電力だけでなく、小さなエネルギー源もあります。例えば、車が橋を通ったときの振動から電力を回収したり、街中で吹く風からも電力を回収できれば、身近な電気製品で利用できます。本研究室では、そういったエネルギー源から電力を回収するエナジーハーベストの研究も行っています。エネルギーの形態・大小を問わず、様々なエナジーハーベスト機器を開発し、自然エネルギーの利用拡大を目指します。

特に現在は、海の波から電力を回収する「波力ハーベスタ」システムの研究を行っています。

微小振動から発電する振動ハーベスタ 波力発電のシミュレーション

電磁界シミュレーション / システムシミュレーション

上述の電気機器の自動設計でも、エナジーハーベスタの設計でも、機器の特性を正確かつ高速にシミュレートする数値解析手法が必要です。特に電磁界シミュレーションのための有限要素法の高度化・高速化に関する研究やマルチフィジックス解析、機器とシステムとを連携させた際の挙動を調べるシステムシミュレーション技術などの数値手法に関する研究も行っています。

鉄のヒステリシス損分布 モータ鉄心の応力分布