研究概要

研究領域

当研究室では、航空宇宙用の無線通信システムのうち「無線方式」「アンテナ・伝搬」「デバイス・その他」に関する領域を扱っています。

 

研究紹介

(1)能動的三次元通信エリア制御を用いた複数無人航空機による同時観測技術の研究開発

目的
同一周波数帯を使用する複数UAVと追尾アンテナを有する複数の地上局を用いた、大規模設備や大型プラントの同時観測(下図)を可能にする能動的3次元通信エリア制御技術の確立

問題点:
UAVの飛行中において発生する建物によるブロッキング、干渉、切替による伝送品質の劣化

解決方法:
UAVの位置・姿勢情報、信号強度情報、追尾アンテナの指向性等を用いた能動的追尾アルゴリズムにより劣化を回避し、通信品質を維持しました。

 本研究は総務省「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」(2016年度)の一環で実施したものです。

システムのイメージ

実験系


(2)広大な農地の短時間観測を可能とする固定翼自律UAVを用いた映像伝送技術の研究開発

・固定翼自律UAVにカメラを搭載し地上に伝送
・飛行位置情報を基に地上局がUAVを追尾
・無人移動体画像伝送システム用の周波数を使用(2016年8月に制度整備)

本研究は総務省「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」(2017年度~2019年度)の一環で実施したものです。

システムのイメージ

回路

開発した169MHz帯無線モジュール


(3)クラスタ無人航空機による長距離位置情報伝送システムの研究

・複数の無人飛行機の位置情報等の伝送をMulti-hopで地上に伝送
 →920MHz帯の特定小電力無線の無線モジュールで実験を実施
・飛行位置情報を基に地上局がUAVを追尾

本研究はJKA補助金(2017年度~2019年度)により実施したものです。

システムのイメージ

測定状況のイメージ


(4)超音速無人航空機搭載用のテレメトリ系(1.2GHz帯)、 コマンド系(400MHz帯)の伝送実験(航空宇宙機システム研究センター関連研究)

・室蘭市と内浦湾の対岸の八雲町間で伝送評価を実施し、距離60kmにおいてエラーフリーの通信を確認した。

伝送実験地点

電波伝搬シミュレーション例


(5)都市部等の上空における電波環境モデルの開発

本研究は総務省 電波利用料R&D「無人航空機の目視外飛行における周波数の有効利用技術の研究開発」(2019年度~2021年度)の一環で実施しています。

a.電波環境モニタリングシステムの構築および長期間測定の実施

a-1. 大学構内におけるモニタリングシステムの検証

電波環境モニタリングシステムの検証

 

a-2. 電波環境モニタリングの実施

a-2-1. 東京都心部および神奈川県における電波環境測定

・新宿、東京駅周辺および東京・横浜湾岸部にて測定。
・横浜湾岸部においては観覧車のゴンドラに測定器を設置し、地上100mと地上の測定結果を比較した。

 

a-2-1.室蘭市白鳥大橋主塔における電波環境測定

・室蘭市白鳥大橋の主塔4箇所(陣屋町側2箇所、祝津町側2箇所)にて各1週間、電波環境測定を実施した。

 

b.電波伝搬モデルによるシミュレーション

b-1.大学構内における電波伝搬評価

・電波伝搬シミュレーションおよび測定を実施
・レイトレースには、地図データから作成したモデルのほか、空撮画像から大学構内を再現したモデルを使用した。

 

空撮画像から再現した室蘭工業大学構内3Dモデル

b-2.大都市部での電波環境シミュレーション

・新宿駅周辺をケーススタディとし、上空の電波環境をシミュレーションした。

新宿駅周辺をモデルとした電波環境シミュレーション結果