ヘレニズム期の墓は、現時点で130基以上報告されています。しかし、未調査の墓もあるので、実際のヘレニズム期の墓の数は、130基を大きく上回ると思われます。また、ヘレニズム期の墓は、多種多様な建築形態を持っています。そのため、闇雲にヘレニズム期の墓を体系化しようとしても、その作業は困難なものとなります。そこで、本研究では、以下に記したフェダックの分類法の一部である、構造を基準とした4つの分類を採用しています。
【 ヘレニズム期の墓の分類法1) 】
@ 家型墓
地上に切石積みで建造された墓を指す。
A 磨崖墓
岩壁に彫り込んで造られた墓を指す。一見、家型墓のように完全に掘り出されたものもあるが、岩を掘り出して造られたものは全て磨崖墓とする。
B 墳墓
墓室や墓を保護するために土を盛った墓を墳墓とする。ケラマイコスの円形墳墓のように、外側が切石積みで建造されて、一見家型墓に見えるものでも、内部に土が充填された墓は墳墓とする。
C 複合墓
岩を彫り込んで造られた部分と切石積みで造られた部分とで構成される墓を指す。
注釈
1) Fedak, J., Monumental Tombs of the Hellenistic Age (Toronto 1990)pp.18-22
図版出展
ネレイドモニュメント:前掲書 Fedak 1990, p.297, fig.62
アミンタスの墓:Stucchi S., Architettura Cirenaica (Roma 1975)p.156, fig.134
ケラマイコスの墳墓:武田明純撮影
中庭N65号墓:前掲書 Fedak 1990, p.297, fig.62
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