航空宇宙流体機械研究室

 

LNG貯槽ロールオーバー現象予測技術に関する研究
CO2排出量が少ないLNG(液化天然ガス)火力の需要が高まっています.そんな中で,異産地のLNGを一つの貯槽で受け入れた際に発生する,蒸発ガス(BOG)急増現象(ロールオーバー現象)の予測技術の確立が,LNGプラントの安全確保のために重要となっています.従来は簡易的な一次元解析,もしくは蒸発ガス発生量に関し,経験則を用いた多次元解析が行われてきましたが,予測精度に問題があります.本研究では数値流体解析技術により,ロールオーバー現象を厳密に再現,予測することを最終目標としています.本研究提案では,①熱流動に関する方程式に,液面での物質収支,混合物の平衡状態およびエンタルピを表現する状態方程式を連成させることにより,ロールオーバー現象を解析的に再現すること,②模擬液体による要素試験により本解析結果の検証・評価を行うこと,を目的としています.
(本研究は、JKA補助金により実施されました)

                         

               ロールオーバーの発生メカニズム


           ロールオーバー検証実験で用いた模擬タンク(試験体)


           ロールオーバー検証実験で用いられた密度場可視化装置


                 ロールオーバー解析モデル概要




●研究成果の評価
 本研究成果は、本学における卒業研究関係の発表会にて評価を受けました。
(1)航空宇宙システム工学コース 卒業研究Ⅰ発表会 H28年8月10日
(2)航空宇宙システム工学コース 卒業研究Ⅱ発表会 H29年2月13日

【質疑応答、評価内容】
・多次元熱流動解析技術の開発が必要な理由は? ⇒ タンク形状の多様化により、従来の一次元解析では対応できないケースがあるため。
・模擬タンク実験における三次元性について。数値解析では二次元の取り扱いをしているのに不整合は無いのか。 ⇒ 放射温度計による液面温度分布計測により、二次元性を確認している。
・固体壁を解析対象に含める必要がある理由は? ⇒ ヒーターによる側面加熱による熱流が、下面にも到達する。これにより下面が加熱され、中心部から上昇する流れが得られる。この状況を解析で再現することを狙っている。
その他、省略

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