電気・電子・ 通信

Electric/Electronic/Communication

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キーワード:電力工学、電力変換、電気機器
高温超伝導線の極小抵抗接合と多芯化
もの創造系領域
電気電子工学ユニット
かなざわ しんてつ

金沢 新哲准教授

高温超伝導線の接合と多芯化技術の開発

研究の目的

電気が流れても抵抗は「ゼロ」(電気代がほぼかからない)となるのが超伝導線材の魅力であり、最高の省電材料といえる。例えば医療診断用のMRIの内部にある超伝導コイルは一度通電すると数年間持続給電なし(永久電流)で運転できる。鉄道の送電ケーブルも超伝導になれば莫大な省電につながる。将来有力視されているのは大電流を流せる高温超伝導であり、永久電流用超伝導接合と極細芯の技術開発と応用を目指している。

研究の概要

抵抗なしでつなぐ

高温超伝導線材には希土類系(REBa₂Cu₃O₇-δ、REは希土類元素、RE123ともいう)線材とBi系( Bi₂Sr₂Ca₂Cu₃O₁₀+δ、 Bi₂Sr₂CaCu₂Ox)線材がある。RE123線間とBi2223線間の超伝導接合は従来の拡散法ではまだ実用に至っていない。そこで、我々は溶融バルクによる結晶的な接続法(CJMB)とマルチジャンクション法という新規方法を提案し、高性能の超伝導接合が得られた。なお、多芯化技術においては折り曲げ加工によるスプリット線の開発も進めている。

研究(開発)のアピールポイント

研究の新規性、独自性

接合:高温超伝導線材間に低融点の媒体を溶融させ、界面付近の媒体を液相成長させることにより超伝導接合
多芯化:高温超伝導線材を構成する金属とセラミック超伝導の靭性違いにより、スプリット加工をしながら複数のフィラメントを形成

研究に関連した特許の出願、登録状況

①特願2014-19034(接合、CJMB法)
②特願2017-165142(接合、マルチジャンクション法)
③特願2014-164590(多芯化、内部スプリット法)

従来研究(技術)と比べての優位性

接合:高い接合強度、高い臨界電流、永久電流コイルでの極小抵抗(10-12Ω以下)、短時間作製
多芯化:高い引張強度、高い臨界電流、遮蔽電流磁場の大幅な改善、短時間作製、作製簡便、低コスト

研究(開発)のビジョン・ステージ

適応分野

接合:高温超伝導線材の長尺化、高磁場永久電流コイル、鉄道用電線、高磁場NMR/MRI
多芯化:高磁場マグネット、高磁場NMR/MRI

研究のステージ

基礎研究応用段階

製品化、事業化のイメージ

研究用マグネット、無冷媒永久電流コイル、高磁場&高感度NMR/MRI、超伝導リニア、鉄道、送電ケーブル、SMES、加速器など

企業等へのご提案・メッセージ

研究(開発)に関連して、あるいはそれ以外に関われる業務

極小抵抗接合に関する線材の事前処理、接合の温度制御方法、接合後の保護と評価方法など
接合種類:

①RE123-RE123(臨界電流20A以上@77K、引張強度200MPa、永久電流コイルの抵抗10-12Ω)
②Bi2223-Bi2223(臨界電流10A以上@77K、200A@4.2K、永久電流コイルの抵抗10-12Ω)
③RE123-Bi2223、RE123-NbTi、Bi2223-NbTiなど(接合抵抗10-8Ω以下@77K)
多芯化の製造方法、評価方法、効果(製作例:幅4mmのGd123線材に対し300芯)

利用可能な設備、装置など

接合用セラミック加熱炉(真空/酸素/窒素等の雰囲気)

極小抵抗・超伝導計測システム
励磁電源(鈴木商館製200A)、超伝導線評価システム
その他:赤外線導入加熱装置、多芯化用自動スプリッター

教員からのメッセージ

ハイリスク・ハイインパクトの先進マテリアル研究に取り組んでおり、
新しいアイデアを萌芽として不断に展開していく努力をしています。
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