Electric/Electronic/Communication
電気が流れても抵抗は「ゼロ」(電気代がほぼかからない)となるのが超伝導線材の魅力であり、最高の省電材料といえる。例えば医療診断用のMRIの内部にある超伝導コイルは一度通電すると数年間持続給電なし(永久電流)で運転できる。鉄道の送電ケーブルも超伝導になれば莫大な省電につながる。将来有力視されているのは大電流を流せる高温超伝導であり、永久電流用超伝導接合と極細芯の技術開発と応用を目指している。
高温超伝導線材には希土類系(REBa₂Cu₃O₇-δ、REは希土類元素、RE123ともいう)線材とBi系( Bi₂Sr₂Ca₂Cu₃O₁₀+δ、 Bi₂Sr₂CaCu₂Ox)線材がある。RE123線間とBi2223線間の超伝導接合は従来の拡散法ではまだ実用に至っていない。そこで、我々は溶融バルクによる結晶的な接続法(CJMB)とマルチジャンクション法という新規方法を提案し、高性能の超伝導接合が得られた。なお、多芯化技術においては折り曲げ加工によるスプリット線の開発も進めている。
接合:高温超伝導線材間に低融点の媒体を溶融させ、界面付近の媒体を液相成長させることにより超伝導接合
多芯化:高温超伝導線材を構成する金属とセラミック超伝導の靭性違いにより、スプリット加工をしながら複数のフィラメントを形成
接合:高い接合強度、高い臨界電流、永久電流コイルでの極小抵抗(10-12Ω以下)、短時間作製
多芯化:高い引張強度、高い臨界電流、遮蔽電流磁場の大幅な改善、短時間作製、作製簡便、低コスト
極小抵抗接合に関する線材の事前処理、接合の温度制御方法、接合後の保護と評価方法など
接合種類:
①RE123-RE123(臨界電流20A以上@77K、引張強度200MPa、永久電流コイルの抵抗10-12Ω)
②Bi2223-Bi2223(臨界電流10A以上@77K、200A@4.2K、永久電流コイルの抵抗10-12Ω)
③RE123-Bi2223、RE123-NbTi、Bi2223-NbTiなど(接合抵抗10-8Ω以下@77K)
多芯化の製造方法、評価方法、効果(製作例:幅4mmのGd123線材に対し300芯)
接合用セラミック加熱炉(真空/酸素/窒素等の雰囲気)
極小抵抗・超伝導計測システム
励磁電源(鈴木商館製200A)、超伝導線評価システム
その他:赤外線導入加熱装置、多芯化用自動スプリッター