材料

Material

Seeds
キーワード:有機ハイドライド、色彩変化、可視化材料
高分子化学で水素エネルギ分野に貢献
しくみ解明系領域
化学生物工学ユニット
まわたり やすてる

馬渡 康輝准教授

有機ハイドライドを灯油のように使用するためには、、、

研究の目的

水素社会の実現に向けて水素の運搬・貯蔵手段が課題である中、液体有機ハイドライドを媒体とする方法が注目を集めています。中でもメチルシクロヘキサン(MCH)が最も有望な液体と言われています。MCHは触媒反応により水素を放出してトルエン(TOL)に変換されます。このため、有機ハイドライド中のMCHとTOLの混合比は水素貯蔵量とみなせます。もし、オンサイト(各工場、供給スタンド、家庭など)で水素貯蔵量を簡便に知ることができれば、灯油のように有機ハイドライドを供給して水素を取り出して使用できる社会の実現に寄与できると考えられます。

研究の概要

物質を見分けて瞬時に色彩変化する材料

MCHとTOLは、室温大気圧下では無色透明な液体で、物性も非常によく似ています。現状では、MCH/TOL混合比は、ガスクロマトグラフィー(GC)など大型分析装置で分析しなければわかりません。当グループでは、このことを解決する材料を開発しました。

研究(開発)のアピールポイント

研究の新規性、独自性

本材料は、MCHと接触しても変化しませんが、TOLと接触すると瞬時に色が変わります。さらに、両液体の混合比を段階的に変えた有機ハイドライドと接触すると、混合比に応じて段階的に色が変化します。したがって、色の変化によって有機ハイドライド中のMCH/TOL混合比が瞬時にわかります。このように、有機ハイドライドと本材料を接触させることができれば、任意の場所で簡便に水素残量を知ることができます。

研究に関連した特許の出願、登録状況

特願2019-56802 有機ハイドライドの水素貯蔵量を測定するための方法及び有機ハイドライドの水素貯蔵量測定用化合物

従来研究(技術)と比べての優位性

物性が非常によく似た物質を、分析装置を使用せずに目視で見分けられること。

研究(開発)のビジョン・ステージ

適応分野

水素エネルギー関連、分析化学関連、高分子材料関連

基礎研究:混合比視認性能の向上、大規模合成など
応用段階:使用時を想定した整形方法など

研究のステージ

基礎研究応用段階

製品化、事業化のイメージ

有機ハイドライド中の水素残量試験紙
有機ハイドライド中の水素残量試験フィルム
有機ハイドライド中の水素残量可視化試薬

企業等へのご提案・メッセージ

研究(開発)に関連して、あるいはそれ以外に関われる業務

プラスチックをはじめとする有機材料、有機無機ハイブリッド材料の設計と合成、およびそれらの解析

利用可能な設備、装置など

教員からのメッセージ

当グループでは、本材料を色の変化で物質を見分ける可視化材料と位置づけています。オーダーメイドの可視化材料が作れるかもしれません。有機ハイドライド以外にも、目視で見分けたい物質がありましたら、是非ご連絡ください。可視化材料を一緒に開発しましょう。

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