Material
水素社会の実現に向けて水素の運搬・貯蔵手段が課題である中、液体有機ハイドライドを媒体とする方法が注目を集めています。中でもメチルシクロヘキサン(MCH)が最も有望な液体と言われています。MCHは触媒反応により水素を放出してトルエン(TOL)に変換されます。このため、有機ハイドライド中のMCHとTOLの混合比は水素貯蔵量とみなせます。もし、オンサイト(各工場、供給スタンド、家庭など)で水素貯蔵量を簡便に知ることができれば、灯油のように有機ハイドライドを供給して水素を取り出して使用できる社会の実現に寄与できると考えられます。
MCHとTOLは、室温大気圧下では無色透明な液体で、物性も非常によく似ています。現状では、MCH/TOL混合比は、ガスクロマトグラフィー(GC)など大型分析装置で分析しなければわかりません。当グループでは、このことを解決する材料を開発しました。
本材料は、MCHと接触しても変化しませんが、TOLと接触すると瞬時に色が変わります。さらに、両液体の混合比を段階的に変えた有機ハイドライドと接触すると、混合比に応じて段階的に色が変化します。したがって、色の変化によって有機ハイドライド中のMCH/TOL混合比が瞬時にわかります。このように、有機ハイドライドと本材料を接触させることができれば、任意の場所で簡便に水素残量を知ることができます。
物性が非常によく似た物質を、分析装置を使用せずに目視で見分けられること。
プラスチックをはじめとする有機材料、有機無機ハイブリッド材料の設計と合成、およびそれらの解析