未来を拓く世代を育てる
このたびのV棟改修工事は、キャンパスマスタープランに基づき、文部科学省の施設整備補助金事業に採択され、実施されました。
本学の研究棟は、20年から30年を目途に、機能の強化と保全を目的として改修を行っています。
今回の改修は、次の30年を見据え、より良い教育環境、設備、そして機能の実現を目指すための第一歩と位置づけています。


約1年間の改修期間を支えた
小林洋介准教授にお話を伺いました


近づく距離、広がる可能性
以前のV棟から大きく変化した点として、全フロアで共通の設計が採用されました。学生室を中心に教員室や実験室がひとつの大きな空間に組み込まれたことで、従来の廊下で区切られていた時代と比べ、物理的にも心理的にも学生と教員の距離が縮まり、一体感が生まれています。
さらに、配置は「1教員1研究室」という形から、複数研究室が集まるグループ型へと変わりました。これにより研究面ではコラボレーションが進み、教育面では複数教員による共同指導がしやすくなるなど、双方において良い相乗効果が期待されています。
改修工事に伴う教員室・研究室の仮移転や、古い備品の処分方法など課題は多くありましたが、たくさんの方々の協力により円滑に進めることができました。不用品についても、ただ処分するのではなく、学内でリユースを呼びかけたことで無駄を減らすことができました。
改修に合わせて各種マニュアルを整備し、各フロアからQRコードでアクセスできるようにしました。これにより紙の紛失を防げるだけでなく、内容の見直しや更新もしやすくなり、長期的に活用できる仕組みとなったと感じています。今後は卒業研究の配属時期などに、学生にもきちんと読んでもらえるよう周知を進めていきたいと考えています。


個性と協力が育つ研究環境に
全フロアが同じ造りになっているので、どこも似た雰囲気になるのではと考えていましたが、実際に各研究室が入居すると留学生が多く国際色豊かなフロアや学生の活動が活発なフロアなど、それぞれに個性が生まれてきました。
私の所属する4階でも、大判ポスターを用いた学会発表が多い研究グループの特色を活かし、通路にポスターを掲示できるレールを導入するなど独自の雰囲気が少しずつ形づくられています。
一方で、共有スペースならではの課題も見えてきました。これまでにはなかった「ご近所付き合い」のような日常的なやりとりが隣接する研究室同士で欠かせなくなり、互いにマナーを大切にしながら関係を築いていくことが重要だと感じています。そうした関係性が育まれる中で、プリンターやネットワーク機器などの研究インフラを共有できれば、業務の効率化につながるだけでなく、研究面でのコラボレーションへと自然に広がっていくのではないかと考えています。

新しくなったV棟で研究に取り組む学生の声を集めました

システム情報学コース
博士前期課程1年生
Y.Kさん

明るく開放的な環境
改修工事が進むにつれて、養生が外れ、R棟側から新しいV棟の全景が見えるようになり、完成へと近づく変化を楽しみにしていました。
完成した建物に入ったとき、現代的で明るい雰囲気に「ここで研究できるのか」と胸が高鳴り、これからへの期待が膨らみました。研究スペースも他の研究室と同じ空間に入るだけあって、部屋自体が大きく開放的で気持ちの良い空間です。
解析結果など、細かな数字や色の変化をみることが多いのですが、部屋自体が以前よりも明るくなって、作業がしやすくなったと思います。
私たちの研究室は、フィールドワークで屋外に出て観測することが多く、機材の移動頻度が高いのが特徴です。新しくなった研究スペースでは、配線が壁や天井にまとめられたことで、床を横断するケーブルが減り、動線がとても快適になりました。
この変化のおかげで、機材の移動が楽になっただけでなく、部屋の模様替えや打ち合わせでホワイトボードを使うときも、自由度がぐっと広がったと感じています。ちょっとした改善ですが、日々の作業効率やコミュニケーションの柔軟性に大きなプラスになっています。



ラウンジ
研究スペースとは別に各階にラウンジが設置されています。
昼食を食べたり、コーヒーを淹れたり…気分転換にとてもいい空間です。
留学生が故郷の料理を作って、いい香りがしてくることもあります。

情報システムコース
学部4年生
T.Yさん M.Wさん

ほどよい距離感と安心感
初めて改修後の建物を見たとき、「すごく綺麗になった!」と思いました。以前の研究室よりも明るくて、空間に仕切りがほとんどないので、空間が広く感じられるのがいいですね。
改修前は、教員室と研究室が壁や扉でしっかり区切られていて、質問や相談をする際に心理的な距離を感じることがありました。
新しいフロアでは、教員室と学生の研究スペースが同じ空間に配置されているので、必要なときにすぐ相談できるようになりました。距離が近くなったことで、会話や情報共有がしやすくなり、研究やゼミの進行もスムーズになったと感じます。先生が近くにいるという安心感もあって、落ち着いて作業できる環境になったのが嬉しいです。
私たちの研究室では、主観評価実験を多く用いてデータの採取や分析を行っています。分析する内容によって、使用する機器や必要なスペースの広さ、防音の有無など、求められる環境や条件が異なります。
新しいフロアでは、それぞれの環境に応じたスペースが確保できるため、実験の準備や進行がとてもスムーズになりました。複数の実験を同時に行える点も大きなメリットで、研究の効率が向上したと感じています。




パウダースペース
女性用化粧室にパウダースペースが新しく設置されました!
コンセントや鏡の周りに照明があるので、メイク直しやヘアセットがしやすく、
身だしなみを整えるときにとても便利です。
※記載の学年・役職は取材時点のものです
