共に創る未来 新しい自分に出会う場所
2024年4月にスタートを切った共創情報学コース
「情報×専門」の環境の中で学ぶ1期生の学生の方におはなしを伺いました。
高い自由度
共創情報学コースMC1年 田中 蒼大さん
学部時代の経験を通して、自分には製図や設計よりも、機械を動かすためのプログラミングが合っているのではないかと感じていた時に、共創情報学コースが新設されることを知りました。大学4年生の卒業研究では、1からシミュレーションを構築するためにプログラミングに取り組みました。しっかりと学んだことはなく、分からないところは独学で1か月ほどかけて取り組みました。本当に大変でしたが、最後に自分の思い描いたように動いたときの感動と達成感は今でもずっと残っており、研究に打ち込む原動力になっています。現在は、卒業研究時の研究をさらに深め、より一般性と実用性の高い経路計画の実現のために、強化学習を取り入れた自動運転の経路計画について研究を行っています。
興味や目標に合わせてカリキュラムを組み合わせて学ぶことができる自由度の高さが、共創情報学コースの魅力だと思います。他のコースと比べても、その自由度の高さは一目瞭然で、自分の専門分野である機械系と新しく知りたい情報系の両方を学ぶことができています。これまで独学だったプログラミングも、講義や演習を通してより専門的・体系的に学べるようになりました。これを自分の研究に応用していきたいと思っています。以前は課題や研究が大変だと感じることもありましたが、大学院に進学してからは興味が勝って自然と手が動くようになりました。作業量や時間を気にすることなく、楽しんで研究に取り組める自分に驚いています。興味を持つだけでなく、実行に移せるようになり、人間的な成長を感じており、毎日が充実していて楽しいです。
持続可能な社会構築に貢献する技術者へ
共創情報学コースMC1年 鈴木 拓真さん
研究をより深めていきたいと思ったときに情報系の知識は必要不可欠だと感じ、このコースを選びました。共創情報学コースのカリキュラムは、情報系の技術が学べる科目と、自分の研究分野である土木工学などを含む幅広い範囲から自分に必要だと思うもの、興味関心が高いものを選択できる点が良いところだと思っています。入学してから初めて知ることや触れることがたくさんあり、その度に1歩前に進めたと実感しています。
現在、土木工学の中でもダムと河川の分野で、機械学習手法を使用したダムへの流入量予測の一般化に向けて研究をしています。流入量をうまく予測できれば、被害の軽減や予防に大きく繋がります。もちろん人間の目や感覚も大切ですが、機械学習を活用して、安全かつ効率的に流入量を予測できる仕組みを目指しています。土木工学のような伝統的な分野においても、情報技術がますます重要視されています。新しい技術を取り入れることで、新しい課題に対する革新的な解決策の提案や、効率的なプロジェクト実行、より精密なリスク評価など、さまざまなことが可能になると考えています。
目指しているのは、土木工学の知識と情報技術の双方を身に付け、持続可能な社会構築に貢献できる技術者です。「持続可能な社会構築」には、地球環境の保全だけでなく、経済的な持続可能性や社会的な調和など、広範な視野が求められると思います。単に専門知識を持っているだけでなく、地域の背景や他分野の知識や技術を汲み取れる広い視野を持ち、課題を解決してより良い未来を実現するために貢献していきたいです。情報技術を活用して、これらの側面に取り組むことが私の目標です。
多角的な視点が得られる!
共創情報学コースMC1年 吉岡 宏太郎さん
新しいことを学びたいと思ったのがこのコースに進学した率直な動機です。元々、電気電子系を学びたいと思い大学に進学し、2年生後期から現在の研究室に所属しています。研究を進めるうちに、自分のテーマはAIだと感じ、「もっと知りたい、技術を身に付けたい」と思うようになりました。現在、機械学習の中でもCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を利用した移動ロボットの制御に関する研究に取り組んでいます。共創情報学コースで、新しいことを学び、自分の研究に繋げたいです。
このコースに来て、PythonやAIについて体系的に学ぶ機会が格段に増えました。C言語や初歩的なPythonについて学ぶ講義はこれまでもありましたが、その後は独学で進めていたので、より深くしっかり学ぶことができた点はとても大きかったです。自分の知らないものを新たに取り入れて失敗することもあります。むしろ失敗を繰り返しながら形にしていくことのほうが多いように思います。大変だと思うこともありますが、思い描いた通りに動くとやっぱり嬉しいです。実際にUdemyで学んだ機械学習で物体検出する方法を実践してみたら、すごく面白かったです。
これまでやってきたことに加えて、プログラミングや情報技術、応用手段を知ることができ、これまでになかった情報系の視点が増えました。自分の中に得たものを多角的に見て、組み合わせながらものづくりができるところがこのコースの良いところだと思います。日頃のニュースで工学系や技術系のニュースを見たときに、自分の知識と結び付けて考えるようになり、以前よりも見え方や受け取り方が変わってきたと感じています。合わせて、自分の意見も持てるようになってきたと思います。
挑戦
共創情報学コースMC1年 中越 巧さん
加速度センサーを用いた構造物のモニタリングシステムの開発について研究を行っています。地震などで建物がどのくらい影響を受けたかを調べるためには、PC上で建物のモデルを構築し、シミュレーションを行う手法が一般的です。しかし、これは再現モデルであり、実際の状態と完全に一致するわけではありません。また、一度損傷を受けた建物を修復し、その後2度目、3度目の変化を観察することは、きっかけとなる出来事がいつ起こるか分からない上に、何度も検証できるわけではないため非常に難しいです。そこで、実際に地震動を受けた構造物の変形角を加速度センサーで計測し、その角度と受けたダメージを結び付けて損傷の具合を直接評価できれば、よりリアルで精度の高い測定が可能になると考えました。現在は、実験を繰り返しながら測定方法やデータのノイズ除去の方法を模索し、実際に使うための準備を進めている段階です。
プログラミングなど新しい情報系の分野を学ぶことは、自分にとって大きな挑戦だと感じています。これまでずっと建築分野や構造分野について学び、研究に取り組んできました。4年生のときに一度、センサーのプログラミングを経験した時に、コードの綺麗さがデータ計測の速度に影響することや、情報を書き込むことの難しさを知りました。新しく身に付けた知識や技術を自分の研究分野に応用できるようになりたいと思っています。
これからは異なる専門分野の人々とスムーズにコミュニケーションを取るスキルが重要になると考えています。共創情報学コースにはさまざまな分野の学生が在籍しており、分野の垣根を越えて受講できる講義もあります。広く知識を身に付け、周りの人との共通点を増やしていきたいです。
夢に一歩近づく
共創情報学コースMC1年 Li Mengyuさん
高校までを母国の中国で過ごし、日本にやってきました。室蘭工業大学がアルツハイマー病についての共同研究に携わっていることを知り、留学生試験を経て入学して5年目になります。きっかけは、アルツハイマー病に関するドキュメンタリー番組を見たことです。この病気で苦しんでいる人がたくさんいること、そして誰もがこの病気になり得ることを知り、何か力になりたいと思いました。現在は、画像処理技術を使ってアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβと脳内の神経細胞との関係を定量的に分析する手法について研究しています。一般的な観察手法では、アミロイドβの時間経過による変化や細胞の消滅の様子を観察することが非常に困難です。そこで、細胞の変化と状態の関係を指標に照らし合わせて数値化し、細かなところまで観察することが可能な仕組みを考え、研究に励んでいます。
今やデータやプログラミングは、さまざまな分野や業界の課題解決のために必要なものになっていますが、技術を応用するためには、他分野への理解が重要だと思います。共創情報学コースには、自分の専門以外の幅広い分野のことを学べる機会やチャンスがたくさんあります。実際に私も、自分の専門分野以外の講義を受けました。なかでも、心理学の災害後のメンタルケアやグリーフケアについての講義がとても印象に残っています。
分野を越えて学ぶことは、自分の専門分野を深めていく意味でもとても良いことだと思います。情報技術と併せて他分野について広く学ぶことができるこの環境の中で、一歩ずつ夢に向かって前進して、将来は、情報技術を活用して世界的な問題を解決できるITプログラマーになって、人々の生活をより良くしたいと考えています。