日時

平成29年1月12日(木)-14日(土)

場所

室蘭工業大学 教育・研究2号館(Q棟)4階 数学ゼミナール室(Q402)
住所:北海道室蘭市水元町27-1

講演者&講演要旨

講演者: 本田淳史 氏 (都城工業高等専門学校)
講演題目:半正定値計量の幾何学と等長実現問題

講演要旨

本講演では,特異点を持つ(超)曲面のクラスである波面を考える.波面の内在的な幾何構造を抽出したモデルとして, リーマン多様体の特異点を許容する一般化にあたる「連接接束」という概念が佐治健太郎氏・梅原雅顕氏・山田光太郎氏により導入された. 連接接束は波面に加え,同じ次元の多様体間の写像の特異点も同時に取り扱うことができ,とくに佐治-梅原-山田は4つのガウスボンネ型の定理を導いた. 本講演では,空間型の間の"波面としての"等長はめ込みを考える. まず,連接接束に「空間型タイプ」という空間型の一般化にあたる概念を導入する. そして正曲率の場合に,それらの球面内の波面としての実現を分類した結果を紹介する. それは,O'Neill-Stiel の定理「同じ正の断面曲率を持つ空間型の間の余次元1の等長はめ込みは全測地的である」の一般化を与える. また関連する話題として Kossowski 計量を紹介する. Kossowski 計量とは,波面の誘導計量をモデルとした半正定値計量のクラスである. とくに,Kossowski 計量が連接接束を誘導すること,その応用として得られるガウスボンネ型の定理を紹介し, 最後に Kossowski 計量の波面としての等長実現問題についても解説する.

講演者: 藤森祥一 氏 (岡山大学)
講演題目:3次元ミンコフスキー空間の極大曲面とその特異点

講演要旨

3次元ミンコフスキー空間の空間的曲面で、その平均曲率が恒等的に消えているものを極大曲面という。極大曲面は3次元ユークリッド空間の極小曲面と類似の表現公式を持ち、局所的には共通の性質を持つが、大域的性質は大きく異なる。例えば完備な極大曲面は平面に限られることが知られており、大域的な性質を調べるためにはある種の特異点を許容することが不可欠である。特異点を許容した極大曲面のクラスとして、梅原雅顕氏・山田光太郎氏によって提唱された「極大面」と呼ばれる概念があり、近年この極大面の研究が活発に行われている。本講演では、この極大面の大域的性質や特異点の分類などについて解説する。 また、折り目特異点と呼ばれる特異点を持つ極大面は、その特異点に沿って曲面を実解析的に拡張することができ、拡張された部分は時間的曲面で、かつ平均曲率が消えている(時間的極小曲面と呼ばれる)ことが知られている。このような(空間的)極大曲面と時間的極小曲面の混合型曲面は平均曲率0曲面と呼ばれており、完備で特異点のない平均曲率0曲面が近年多く発見されている。本講演ではこの平均曲率0曲面の構成法についても解説する。

プログラム

1月12日(木)

 15:30-16:30 本田氏 -- Overview (兼 室蘭工大数理科学談話会)
 16:45-17:45 藤森氏 -- Overview (兼 室蘭工大数理科学談話会)

1月13日(金)

 10:00-11:30 本田氏 -- Part 1
  (昼休み)
 13:00-14:30 藤森氏 -- Part 1
 15:00-16:30 本田氏 -- Part 2

1月14日(土)

 10:00-11:30 藤森氏 -- Part 2
  (昼休み)
 13:00-14:30 本田氏 -- Part 3
 15:00-16:30 藤森氏 -- Part 3


本研究会は

  室蘭工業大学研究ユニット予算

の援助を受けて開催されます.


世話人
加藤正和,黒木場正城,高橋雅朋, 内免大輔
(室蘭工業大学ひと文化系領域数理科学ユニット)

過去の講演会の記録