数理科学談話会のお知らせ image




2023年度第3回数理科学談話会
日時 3月11日(月)
16:00〜17:00
場所 教育・研究2号館(Q棟)4階 Q402 (数学ゼミナール室)
講演者と
講演題目
加藤 正和 氏 (室蘭工業大学)
弱い消散項を伴う非線型波動方程式の解の時間大域存在と爆発について
要旨 半線型偏微分方程式の解の時間大域存在と爆発を分ける非線型指数を臨界指数といい、 解の最大存在時刻をライフスパンといいます。 空間変数に依存する低階項を伴う空間3次元の半線型波動方程式について、空間変数の 係数が臨界指数やライフスパンにどう影響するか不明でした。
本講演では、初期値の空間遠方での減衰が速い場合には、臨界指数は低下項の係数に 依存するシュトラウス指数になり, 減衰が遅い場合には、その減衰度に応じた藤田タイプの 指数になることが明らかになったので紹介します。 また、最適なライフスパンの評価を導き、熱的なライフスパンが波動的に変化する閾値についても解説します。
本講演は北海道大学の久保英夫教授との共同研究に基づきます。

2023年度第4回数理科学談話会
日時 3月25日(月)
14:00〜16:15
※ いつもと時間帯が異なりますので、ご注意ください。
※ 60分講演が2つで、途中15分の空き時間があります。
※ 今回の談話会は、 第10回室蘭連続講演会 の一環として開催されます。
場所 教育・研究2号館(Q棟)4階 Q402 (数学ゼミナール室)
講演者と
講演題目
講演1: 寺本 圭佑 氏
(山口大学)
擬球的波面とその焦面について
講演2: 赤嶺 新太郎 氏 (日本大学)
3次元ミンコフスキー空間内の時間的極小曲面について
要旨 講演1:
3次元ユークリッド空間内のガウス曲率が負で一定な曲面を擬球的曲面という。 基本的な擬球的曲面にベルトラミの擬球というものがある。 これは、追跡線と呼ばれる平面曲線の回転面として得られる。
この追跡線の縮閉線(焦線)は懸垂線であり、このことからベルトラミの擬球の焦面は極小曲面である懸垂面だとわかる。 この例から、擬球的曲面の焦面が極小曲面となることがある。 一方、ヒルベルトの定理から、完備な擬球的曲面の3次元ユークリッド空間へのはめ込みは存在しないことが知られており、一般に擬球的曲面は特異点を持ちうる。
これらを踏まえ、本講演では、ある種の特異点を許容する擬球的曲面である擬球的波面の焦面について扱う。 特に、擬球的曲面の焦面が極小曲面になるための条件や、その条件を満たす擬球的波面のクラスについて解説する。 また、焦面が極小曲面となるとき、その極小曲面の対応するワイエルシュトラス・データについても紹介する。
本講演は、軸丸芳揮氏(東洋大学)との共同研究に基づく。
講演2:
3次元ミンコフスキー空間内の時間的曲面で,その平均曲率が恒等的に消えているものを時間的極小曲面という.
ここで,時間的曲面とはミンコフスキー空間からの誘導計量がローレンツ計量となる曲面のことであり,それらの曲面はリーマン計量を備えた曲面とは異なる様々な性質を有している. 例えば,時間的曲面に顕著な性質として型作用素の対角化可能性に関するものがあり,実曲面を考えているにも関わらず主曲率が複素数になることがあるほか,曲面上に擬臍点と呼ばれる型作用素が対角化可能でない特殊な点が発生する.
本講演では,そうした不定値計量特有の事情からくる時間的極小曲面の諸性質を考察する. とくに,時間的極小曲面にはどのような特異点が現れうるのか,特異点の微分同相型と曲面の主曲率の間にはどのような関係があるのか,といったことや従来のユークリッド空間内の極小曲面などが備えていた等長変形に関する剛性(Schwarzの剛性定理と呼ばれる)は,曲面が不定値計量を備えている場合においては成り立つのかといった話題を紹介する.

この談話会は数理科学に関心のある方ならどなたでもご参加いただけます。 お気軽にお越し下さい。
面白い話題があれば講演して頂くことも考えております。 そのときはよろしくお願い致します。

2023年度問合せ先:可香谷 隆 [kagaya"at"mmm.muroran-it.ac.jp]

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