| 開講学期/Course Start | 2026年度/Academic Year 前期/First |
|---|---|
| 開講曜限/Class period | 木/Thu 5 , 木/Thu 6 |
| 授業区分/Regular or Intensive | 週間授業 |
| 対象学科/Department | 情報電子工学系学科情報システム学コース/Department of Information and Electronic EngineeringCourse of Computer Systemics,情報電子工学系学科コンピュータ知能学コース/Department of Information and Electronic EngineeringCourse of Computational Intelligence,システム理化学科数理情報システムコース/Department of Sciences and InformaticsCourse of Mathematical Science and Informatics |
| 対象学年/Year | 3年 , 4年 |
| 授業科目区分/Category | 教育課程 システム理化学科 |
| 必修・選択/Mandatory or Elective | 選択 |
| 授業方法/Lecture or Seminar | 講義科目 |
| 授業科目名/Course Title | 信号処理/Signal Processing |
| 単位数/Number of Credits | 2 |
| 担当教員名/Lecturer | 小林 洋介 (システム理化学科数理情報システムコース) |
| 時間割コード/Registration Code | J4139 |
| 連絡先/Contact |
小林 洋介(V612 0143-46-5440 ykobayashi(at)muroran-it.ac.jp スパム対策のため@を(at)で表記しています。 緊急時を除き,極力E-mailで連絡ください)) |
| オフィスアワー/Office hours | 小林 洋介(水曜日16:00-17:00) |
| 実務経験/Work experience |
| 更新日/Date of renewal | 2026/02/12 |
|---|---|
| 授業のねらい /Learning Objectives |
ネットワーク上を情報が飛び交うサイバー空間と,我々が実際に生活する物理空間(フィジカル空間)をつなぐサイバー・フィジカルシステム(InternetにつながればIoTとも呼ぶ)の進展は私たちの生活を大きく変え,あらゆるところに応用先が広がっています。 物理空間の情報を継続的にセンシングする際は,物理量を時分割して記録した「時系列データ」として観測(サンプリング)します。この物理情報の時系列データを特に「信号」と呼びます。 本科目はデータサイエンス分野における「時系列データ解析」としての,「信号処理」および「信号解析」を扱います。物理空間の多くの現象は「連続量によるアナログ情報」ですが,計算機中では「離散量であるディジタル情報」とする必要があるため,情報の変換処理が不可欠であり,「信号処理」および「信号解析」では,この変換の理論的背景も扱います。 わかりやすく言い換えれば「時間変化する物理量をコンピュータのメモリ上でどのように扱うか」ということです。この変換処理は,信号を計算機で扱うために必須の知識であり,情報学を異分野に展開する上で必須の知識です。 また,時系列情報は「同じパターンの繰り返し」である周期性を持つことが多く,これを理解するためにフーリエ級数展開やフーリエ変換を用いた解析を行います。さらに,信号が時間とともにどのような周波数成分を持つかを調べる「時間‐周波数分析」により,周波数特性や周期成分の時間変化を詳細に把握することができます。これらの考え方は,動画像や音声を用いたAIでも現在進行形で広く利用されています。 さらに,各種センサによる物理情報の観測時には,利用目的に合致した目的信号だけでなく,外乱となるノイズ(必ずしも音ではないのですが,目的外信号を慣例的に雑音・ノイズと呼びます)が混入します。この目的信号にノイズが混入した観測信号(目的信号+ノイズ)から目的信号のみを取り出すためには信号の物理特性や時系列特有の特性を利用して分離処理を行います。 最近では信号の特徴解析や分類には,周期性に基づく数理的解析だけでなく,機械学習モデルやパターン認識に基づく特徴抽出が用いられます。人間によるヒューリスティックな分析からの脱却により,信号そのものが持つ潜在構造を自動的に抽出し,より高精度で汎用性の高い信号解析が可能になりました。 以上のように,単に「信号を解析する」ためだけでも多様な背景知識を学ぶ必要があり,初学者は敬遠してしまうかもしれません。しかし,これらの「物理空間の情報である信号」と「サイバー空間での情報処理」を「つなぐインタフェース」としての信号処理・信号解析分野は,AI時代のソフトウェアエンジニアに不可欠な内容です。よって,本科目では信号の処理と分析について枝葉の細かい議論にとどまることなく,より広い視点で全体の外観を掴めるようになることを目指して授業を行い,皆さんの知見を広げることをねらいます。 |
| 到達度目標 /Outcomes Measured By: |
本授業最大の目的は「時系列情報である信号の解析方法を理解する」ことです。この目標を達成するために以下の小目標を設定します。 1. 信号の表現方法を理解する。 2. 信号の周波数解析を理解する。 3. 信号と雑音を分ける信号分離の基礎を理解する。 4. 観測信号の非線形性や特徴解析の基礎を理解する。 |
| 授業計画 /Course Schedule |
1週目: ガイダンス,必要な数学的知識の確認 2週目:信号の表現と扱い1:数学表現と相関関数 3週目:信号の表現と扱い2:フーリエ級数展開と線形モデル 4週目:信号の周波数解析1:フーリエ変換と高速フーリエ変換 5週目:信号の周波数解析2:フーリエ変換に基づく周波数解析 6週目:信号の周波数解析3:信号の相関性に関する周波数解析,時間周波数解析 7週目:信号の周波数解析4:ケプストラム解析 8週目:信号の周波数解析5:周波数解析の使い分けと演習 9週目:信号分離1:観測信号からの雑音除去,変動成分の分離 10週目:信号分離2:離散ウェーブレット変換,特異スペクトル解析法 11週目:信号分離3:重複信号の分離解析,独立成分分析 12週目:信号分離4:信号分離手法の使い分けと演習 13週目:信号の非線形性解析:カオス,力学系の非線形解析,フラクタル 14週目:観測信号の識別と特徴把握:クラスター分析,ニューラルネット,多変量解析 15週目:全体のまとめ,先端技術紹介 16週目:期末試験 総授業時間数: 22時間30分(15回×90分) 各回の講義終了後に,必要に応じて講義で使用した資料をMoodleで公開しますので,積極的に復習に取り組んでください。 各回の学修時間の目安は,事前・事後合わせて4時間です。 |
| 教科書 /Required Text |
信号解析 : 信号処理とデータ分析の基礎 馬杉正男著 森北出版 2013(ISBN:9784627786318) |
| 参考書等 /Required Materials |
メディアのための物理 : コンテンツ制作に使える理論と実践 大淵康成, 柿本正憲, 椿郁子共著 コロナ社 2022(ISBN:9784339027983) |
| 教科書・参考書に関する備考 |
教科書は電子書籍版も販売されます(本科目のために大学生協にご協力いただきました)。授業中の閲覧端末を各自で用意できる場合は電子書籍版を利用を強く推奨します。 また,信号処理のイメージを掴むため,各種の解説動画などを授業で適宜紹介しますのでそれらも参照して理解を深めてください。 ※2026年度からの担当者変更に伴い,教科書を変更しています。以前の教科書と全く異なる文脈で信号処理・信号解析を扱うので必ず新しい教科書を用意して下さい。 |
| 成績評価方法 /Grading Guidelines |
期末試験と,各回でmoodleに提出する課題小レポートを課します。課題小レポートについてはガイダンスで説明します。 毎週の小レポート 3点 * 14回 = 42点 期末試験 58点 合計100点満点とし,100点満点中60点以上を合格とします。 ※何らかの事情で小レポートの実施回数が14回未満だった場合,未実施分の点数は期末試験の配点に加算します(例:小レポート13回だった場合の期末試験は61点となります)。 ※初回のガイダンスで毎回のレポートでの大規模言語モデルの利用法について説明しますので,説明通り利用していないことが発覚した場合,レポート点を減点します。 |
| 履修上の注意 /Notices |
再試験は行いませんので,不合格者は再履修してください。 |
| 教員メッセージ /Message from Lecturer |
「授業のねらい」でも述べたように、信号処理・信号解析はフィジカル空間とサイバー空間をつなぐ技術であり、情報学分野および電子通信分野の基盤的な要素技術です。多くの場合、信号を電気信号として扱うため、電気電子工学分野の技術と捉えられがちです。 これは、電話を用いた音声通信やテレビ(動画像)の放送が、情報通信技術やメディア処理技術の中心であった時期が長かったためです。このような歴史的経緯のもと、情報系と電子通信系の共通技術として発展してきた信号処理・信号解析は、現代の先端的な音声生成AIや画像生成AIの発展に不可欠な技術であることは間違いありません。 さらに、視聴覚に関わる情報処理という観点では、生物の生理学や、知覚・認知を扱う心理学とも関係が深いです。これらの複合領域では、医療機器開発や人間らしいロボットの開発といった工学的応用だけでなく、人間自身の認知機構の解析のための実験心理学分野でも信号解析が行われています。また、各種レーダーによる地形観測は、電磁波の信号処理と分析ですから,地球科学分野の観測応用にもつながります。 このような,情報学の異分野連携を支える学術的基礎である信号解析分野にぜひ取り組んでみてください。慣れないことで大変かもしれませんが,あなたの世界を見る目が変わるかもしれません。 |
| 学習・教育目標との対応 /Learning and Educational Policy |
学生便覧「学習目標と授業科目との関係表」参照 |
| 関連科目 /Related course |
情報システム概論,プログラミング演習,プログラミングA,情報理論,人工知能,情報学応用演習B |