授業情報/Course information

開講学期/Course Start 2024年度/Academic Year   後期/Second
開講曜限/Class period 金/Fri 1 , 金/Fri 2
授業区分/Regular or Intensive 週間授業
対象学科/Department 応用理化学系学科応用物理コース/Department of Applied SciencesCourse of Applied Physics,システム理化学科物理物質システムコース/Department of Sciences and InformaticsCourse of Physics and Materials Sciences
対象学年/Year 3年 , 4年
授業科目区分/Category 教育課程 システム理化学科
必修・選択/Mandatory or Elective 必修
授業方法/Lecture or Seminar 講義科目
授業科目名/Course Title 量子力学B/Quantum Mechanics B
単位数/Number of Credits 2
担当教員名/Lecturer 小野 頌太 (システム理化学科物理物質システムコース)
時間割コード/Registration Code J4083
連絡先/Contact 小野 頌太(居室:K702
メール:shotaono@muroran-it.ac.jp
)
オフィスアワー/Office hours 小野 頌太(いつでもどうぞ。)
実務経験/Work experience
更新日/Date of renewal 2024/08/06
授業のねらい
/Learning Objectives
量子力学は、物質を構成する原子や電子に対する力学であり、化学・固体物理学・量子情報科学など広範な分野に応用される。これらの「量子力学的粒子」の運動は、シュレーディンガー方程式により記述され、ニュートン方程式が予測する「古典的粒子」の運動とは全く異なる。本授業では、簡単な系に対するシュレーディンガー方程式を解くことで、量子力学的粒子の性質を理解する。
到達度目標
/Outcomes Measured By:
1. 原子のシュレーディンガー方程式を書くことができる。(知識力)
2. 井戸型ポテンシャル中の電子の問題を解くことができる。(理解力)
3. フェルミ粒子とボース粒子の違いを理解して、多粒子系のエネルギーを計算できる。(理解力)
4. 交換関係の公式を理解し活用できる。(計算力)
5. スピンや不確定性関係など、量子力学に特有の概念を理解している。(理解力)
6. 量子力学と古典力学との対応関係を理解している。(計算力、論理力)
7. 水素原子の問題を解くことができる。(計算力)
8. 摂動論と変分法の近似計算手法を用いて、量子力学の問題を解くことができる。(計算力)
授業計画
/Course Schedule
総授業時間数:2時限×15回 = 22.5時間

10/04 ガイダンス、量子論の復習(1, 2章)
10/11 シュレーディンガー方程式(3章)
10/18 波動関数(4章)
10/25 箱の中に閉じ込められた粒子(5章)
11/01 粒子の不可弁別性(6章)
11/08 物理量を表す演算子(7章)
11/15 角運動量とスピン(8章)
11/22 不確定性原理(9章)
11/29 【中間試験】
12/06 水素原子1(12章)
12/13 水素原子2(13章)
12/20 摂動論1(14章)
01/10 摂動論2(14章)
01/14 変分法(15章)
01/24 量子力学に関する最近の話題
01/31 【定期試験】

※毎回、自己学習により復習すること。
各回の学習時間の目安は,事前・事後合わせて4時間必要です。
教科書
/Required Text
「工科系 量子力学」椎木一夫、裳華房(ISBN:4785322160)
参考書等
/Required Materials
「現代の量子力学(上・下)」J. J. サクライ、吉岡書店(ISBN:9784842703640)
「鏡の中の物理学」朝永振一郎、講談社学術文庫(ISBN:9784061580312)
「量子革命 〜 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突」マンジット・クマール(青木薫 訳)、新潮文庫(ISBN:9784105064310)
教科書・参考書に関する備考 【教科書に関して】
量子力学Bの講義を担当することになり、本学の図書館にあるほぼ全ての量子力学の教科書に目を通した(少なくとも目次はざっと確認している)。以下のような条件を課して教科書を選定した。

(1) 半期の限られた時間で読み通すことのできる教科書
(2) 量子力学を正確に厳密に説明するよりもむしろ、簡潔に説明する教科書
(3) 物理物質システムコースが物性物理学や物質材料科学に関連した研究室で構成されていることから、物質を構成する原子の電子状態を説明する教科書(最近では、水素原子を省略し、量子情報などに紙数を割くものもある)
(4) 摂動論と変分法を説明する教科書(これらは厳密に解けない問題に対して近似解を求める手法であり、難問に屈せず工夫する力を育むための教育的な項目である)

以上の境界条件を課すことで、「工科系量子力学」の教科書が選ばれた。前後関係が不明瞭で、論理的に飛躍している箇所もあるが、授業中に解説する。なお、(1-2)の条件を外すと、世界的名著「現代の量子力学(上・下)」(J. J. サクライ、吉岡書店)が文句なしで選ばれるが、これは大学院〜研究者向けの本である。

【参考書に関して】
粒子の波の二重性がわからない?!量子力学がつまらない?!
それなら、以下の2冊を読んでみてはいかがでしょう。

・「鏡の中の物理学」
著者の朝永振一郎は、量子力学の基礎的研究により1965年にノーベル物理学賞を受賞した日本を代表する物理学者である。本書に収録される「光子の裁判」は、被告(波乃光子)、検察官、弁護人(物理学者)らが繰り広げる論争を描いたノンフィクションとして、物理を学ぶ人達に長く読まれ続けている。
検察官「その部屋には二つの窓が前庭を向いて並んでいる。被告はそのどちらの窓から侵入したのか?」
被告「私は二つの窓の両方をいっしょに通って室内に入ったのです。」
君はこの謎を解けるか?

・「量子革命 〜 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突」
量子論を解説する一般向け書籍は、相対論の解説書と同じくらい数多く出版されている。しかしその多くは、量子の不思議な世界を淡々と説明するだけであり、量子論の教科書のようなものである。一方、本書は「偉大なる頭脳の激突」する様子を映画を見るように味わうことのできる量子論に関する最高の一般書である。文庫本で約700ページと大著であり、量子論の考え方をしっかり学ぶことのできる科学書として、また量子論の発展史を記した歴史書として、そしてタイムマシンに乗って量子論の創始者達の議論に立ち会えるフィクションとして読むことができる。訳者あとがきのタイトル「良質の歴史小説のような物理学史」という表現が本書にはぴったりである。
成績評価方法
/Grading Guidelines
100点満点中60点以上が合格。各到達目標に関して、中間試験、定期試験、レポートによりその達成度を評価する。
履修上の注意
/Notices
・各回の授業は過去の授業内容を踏まえ進行するので、毎回の内容をよく復習すること。
・授業中やオフィスアワーでの質問は大歓迎。
・授業の変更や緊急時の連絡は授業中または掲示板で通知する。
・不合格者は再履修とする。
教員メッセージ
/Message from Lecturer
「教科書・参考書に関する備考」参照
学習・教育目標との対応
/Learning and Educational Policy
学生便覧「学習目標と授業科目との関係表」参照
関連科目
/Related course
「力学B」「振動・波動論」「量子力学A」「統計力学」「固体物理学A, B」「物理数学」「物理数学演習」
No. 回(日時)
/Time (date and time)
主題と位置付け(担当)
/Subjects and instructor's position
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
該当するデータはありません
Active learning 1-1
/主体的学修(反転授業,小テスト,振り返り 等)
本授業では、小テストを大きな単元毎に実施し(3回程度),授業の振り返りを行う。
Active learning 1-2
/上記項目に係るALの度合い
15%~50%
Active learning 2-1
/対話的学修(グループ学習,協働,調査体験 等)
think-pair-share法によるグループ学習を行う。
Active learning 2-2
/上記項目に係るALの度合い
15%未満
Active learning 3-1
/深い学修(複数科目の知識の総合化や問題解決型学修 等)
振動・波動論および物理数学、量子力学Aを基礎とし、本科目と合わせ波動現象の知識を統合化する。振動・波動論と物理数学で学んだ波動が、ミクロな世界において、粒子の本質的な性質として現れることを本科目で学び、波動について総合的な理解を深める。
Active learning 3-2
/上記項目に係るALの度合い
15%~50%