開講学期 2010年度 後期
授業区分 週間授業
対象学科 全学科
対象学年
必修・選択 選択
授業方法 講義
授業科目名 日本近現代史B
単位数 2
担当教員 永松俊雄、一瀬啓恵
教員室番号 Q301非常勤講師室
連絡先(Tel) 5848
連絡先(E-mail) CZE15657@nifty.com
オフィスアワー 毎週水曜日
授業のねらい  日本近現代史Bは、「近代日本と植民地―韓国併合への道―」をテーマとする。
 2010年は日本が韓国を併合した1910年から、ちょうど100年にあたる。1889年に大日本帝国憲法が制定され、翌90年第1回帝国議会が開会すると、当時の首相山県有朋は予算案の説明のなかで、朝鮮を「利益線」と位置づけた。「利益線」とは、日本の領土ではないがそこを他国に植民地化されれば、日本の領土も危険にさらされるようになる地域のことである。山県はこのとき朝鮮を植民地化する国としてロシアを想定しており、ロシアが朝鮮を植民地化するのを阻止するためにも、軍事費の増大が必要であるとして、議会に予算案への賛成を促したのである。この後日本は、1894年に日清戦争を、1904年に日露戦争を戦うことになるが、これらの戦争はこのような発想に基づき、日本が清国やロシアを相手に朝鮮の支配権を争った戦争であり、日露戦争での勝利こそ、日本が韓国併合に乗り出すきっかけとなった。
 ただし朝鮮を植民地化しようとする発想や政策は、最初から日本国民の大多数に受け入れられていたわけではない。「初期議会」において民党は最初、政府の軍備拡張路線に反対の立場をとり、「利益線」確保のための軍事費増大は支持しなかったし、日露戦争の開戦直前まで民間では開戦を支持しない「非戦論」が唱えられていた。また明治政府の内部でも、朝鮮を植民地化することは最初から長期目標として掲げられていたわけではなく、対アジア外交に関してもさまざまな構想や意見、方針の対立がみられた。
 そこでこの講義では、明治初年から韓国併合までの過程を概観するとともに、政府内部や国民のなかで朝鮮をめぐってどのような構想や方針が生まれ、朝鮮の植民地化がいつから意識され支持されるようになったのか、また併合したあとの日本の朝鮮経営がどのようになされたのかを明らかにしていきたい。
到達度目標 1)明治初年から韓国併合にいたるまでの明治政府の対朝鮮政策を理解する。
2)朝鮮植民地化の過程で、日清戦争や日露戦争がどのように勃発したのかを理解する。
3)日本の植民地経営がどのように行われたのかを理解する。

授業計画 第1回 ガイダンス
第2回 明治維新と対朝鮮政策
第3回 江華島事件と日朝修好条規
第4回 壬午軍乱と甲申事変
第5回 脱亜論の登場
第6回 初期議会の動向
第7回 日清戦争の勃発
第8回 日清戦後の対朝鮮政策と国際情勢
第9回 日露戦争の勃発
第10回 日露戦後の国際情勢
第11回 韓国併合
第12回 朝鮮経営―武断政治
第13回 朝鮮経営―文化政治
第14回 満州事変以降の朝鮮経営
第15回 進路調節のため未定
総時間22時間30分
教科書 特になし。
参考書 森山茂徳『日韓併合』(吉川弘文館、1992年)
海野福寿『日韓併合』(岩波書店、1995年)
原田敬一『日本近現代史B 日清・日露戦争』(岩波新書、2007年)

 
教科書・参考書に関する備考 レジュメを配布し、それにそって講義をする。
成績評価方法  講義中に書いてもらう意見・感想を3割、定期試験を7割として総合的に評価する。
 100点満点中60点以上で合格とする。

履修上の注意  受講者には、毎回講義中に5〜10分程度の時間を使って、講義を聴いて理解できたことに対して「自分はどう考えるのか」を書いてもらい、毎回提出してもらう。これらは講義の第8回と最終回に評価をして返却するが、この評価は全体の成績評価にも加えるので、授業に出席しても、「自分なりの意見」が持てない場合は、必然的に成績評価も下がることになる。
 定期試験は2000字程度で、与えられたテーマを論じる。
 不合格者に対する再試験は行わない。
教員メッセージ  日韓関係、あるいは日清戦争や日露戦争に興味がある学生に受講をすすめる。講義の対象となる時期は1868〜1945年までであり、日本の近代史を見直すことにもなる。この時期の歴史について知識のない学生も多いので、基礎的な事項にはその都度解説も加えるつもりである。
学習・教育目標との対応 JABEE基準 (a)多面的に物事を考える能力 の達成に寄与する。
関連科目 2010年度 日本近現代史A
備考