開講学期 2010年度 前期
授業区分 週間授業
対象学科 全学科
対象学年 1
必修・選択 選択
授業方法 講義
授業科目名 日本近現代史A
単位数 2
担当教員 永松俊雄、一瀬啓恵
教員室番号 Q301非常勤講師室
連絡先(Tel) 5648
連絡先(E-mail) CZE15657@nifty.com
オフィスアワー 毎週水曜日
授業のねらい  今回の日本近現代史Aは、「明治国家の形成―国家構想と対外観―」と題して、「明治前期」といわれる明治維新から明治憲法制定・国会開設までの時期を中心に、政府内部や民間でどのような国家像が構想され、またどのような対外観が登場したかを検討する。
 維新から憲法制定にいたるまでの時期は、欧米列強をモデルとして日本という国を「どのような国家」に創りあげていくか、また不平等条約下の国家として「どのような外交をするべきか」が、政府内部でも民間でも盛んに論議された。しかしこのことに関して、政府内部では必ずしも意見が統一されていたわけではなく、ときには政変にいたるような激しい対立を生んだ。また民間においても、自由民権運動を軸としてさまざまな憲法構想が誕生する一方、対東アジア政策や不平等条約の改正に対する関心も高く、明治政府の外交は批判の対象となった。そこで今回の講義では、政府内部や民間で議論された「国家構想」や「外交政策」の内容を手がかりに、明治前期という時代を概観し、「明治国家」とはどのような国家だったのか、また明治前期にどのような対外観が生まれたのかを検討する。
到達度目標 1)明治維新から憲法制定期に書かれた政府高官の意見書や政府に提出された建白書、新聞記事などでどのようなことが論じられていたか理解する。
2)明治前期の人々がどのような「国家」をつくろうとし、またその結果としてどのような国家が生まれたのかを理解する。
3)明治前期の人々がどのような「外交」を行おうとし、またそれはどのような「対外観」に基づくものだったのかを理解する。
授業計画 第1回 ガイダンス 明治維新とは何か
第2回 廃藩置県
第3回 岩倉使節団の派遣と留守政府
第4回 明治六年の政変
第5回 台湾出兵
第6回 自由民権運動の展開
第7回 樺太・千島交換条約
第8回 江華島事件と日朝修好条規
第9回 民権派の憲法構想
第10回 琉球処分
第11回 明治一四年の政変
第12回 憲法調査と激化事件
第13回 壬午軍乱と甲申事変
第14回 条約改正と国権論の登場
第15回 明治憲法の制定
総時間22時間30分
教科書 特になし。
参考書  井上勝生『日本近現代史@ 幕末・維新』(岩波新書、2006年)
 牧原憲夫『日本近現代史A 民権と憲法』(岩波新書、2006年)
 鈴木淳『日本の歴史20 維新の構想と展開』(講談社、2002年)
 松本健一『日本の近代1 開国・維新』(中央公論社、1998年)
 坂本多加雄『日本の近代2 明治国家の建設』(中央公論社、1998年)
 日本近代思想大系『対外観』(芝原拓自・猪飼隆明・池田正博、岩波書店、1988年)、
 日本近代思想大系『憲法構想』(江村栄一、岩波書店、1989年)
 
教科書・参考書に関する備考  講義ではレジュメを配布し、それにそって講義する。
 参考書として掲げた井上勝生『幕末・維新』、牧原憲夫『民権と憲法』は、講義内容を理解するうえでも参考になるので、購入し読んでおくことをすすめる。
成績評価方法  講義中に書いてもらう意見・感想を3割、定期試験を7割として総合的に評価する。
 100点満点中60点以上で合格とする。
履修上の注意  受講者には、毎回講義中に5〜10分程度の時間を使って、講義で紹介する史料や講義内容そのものに対して意見や感想を書いてもらい、毎回提出してもらう。これらは講義の第8回と最終回に評価をして返却するが、この評価は全体の成績評価にも加えるので、講義に出席していても、「自分なりの意見」が持てない場合は、必然的に成績評価も下がることになる。
 定期試験は2000字程度で、与えられたテーマを論じる。
 不合格者に対する再試験は行わない。
教員メッセージ  講義で扱う時期は1868年〜1890年と比較的短いが、明治維新という変革や、明治国家という「近代国家の誕生」について、また自由民権運動や憲法について、あるいは外交について興味のある学生に受講をすすめたい。講義のなかでは、高等学校程度の日本史の知識がなくても修得が可能なように、基礎的な事項にも解説を加えるつもりである。
学習・教育目標との対応 JABEE基準 (a)多面的に物事を考える能力 の達成に寄与する。
関連科目 2010年度 日本近現代史B
備考