開講学期 | 2009年度 後期 |
授業区分 | 週間授業 |
対象学科 | 全学科 |
対象学年 | |
必修・選択 | 選択 |
授業方法 | 講義 |
授業科目名 | 日本近現代史B |
単位数 | 2 |
担当教員 | 永松俊雄、一瀬啓恵 |
教員室番号 | Q301非常勤講師室 |
連絡先(Tel) | 5848 |
連絡先(E-mail) | CZE15657@nifty.com |
オフィスアワー | 毎週水曜日 |
授業のねらい |
日本近現代史Bは、「憲法制定後の国内情勢と対外関係」をテーマとする。 1890年第1回帝国議会において、当時の首相山県有朋は、朝鮮を「利益線」と位置づけ、軍事費の増大を主張した。「利益線」とは、日本の領土ではないが、そこを他国に植民地化されれば、日本の領土も危険にさらされるようになる地域のことで、朝鮮をロシアに植民地化されるまえに日本が積極的に植民地にしていこうという考えである。日清戦争や日露戦争は、このような発想に基づき、日本が清国やロシアを相手に朝鮮の支配権を争った戦争であり、日露戦争での勝利は、日本が韓国併合に乗り出すきっかけとなった。 ところでこのような発想は、日本国民の大多数に最初から受け入れられていたのだろうか。いわゆる「初期議会」において、民党は最初、政府の軍備拡張路線に反対の立場をとって「民力休養・経費節減」を主張し、「利益線」確保のための軍事費増大は支持しなかった。また日露戦争においても、国民の大多数は最初開戦を支持しない「非戦論」に傾いていた。もちろん明治憲法における議会の権限は、今と比べ著しく制限されていたし、有権者も全人口の1%程度であった。また、現代のいわゆる「世論」と日露戦争時の「世論」では、政府の決断に与える影響力には差があることも事実である。しかし、議会や「世論」がどのようにして戦争を受け入れ、あるいは支持するようになるか、その議論の動向や変化をみる意味は、決して小さくないと考える。 そこでこの講義では、第1回帝国議会の開催から日清戦争、日露戦争勃発にいたる時期の議会や世論の動向を明らかにし、これらの国内情勢が対外関係にどのような影響を及ぼすのかを検討していく。また日清戦争や日露戦争がどのように戦われたかや、日本社会や世界に与えた影響なども詳しく紹介したい。 |
到達度目標 |
1)明治憲法制定から日露戦後にいたるまでの、議会における議論の様子と世論の動向 を理解する。 2)日清戦争や日露戦争がどのように戦われ、その後の日本社会や世界にどのような影 響を与えたのかを理解する。 3)日清戦争や日露戦争を題材に、どのようにして戦争がおきるのかを考える。 |
授業計画 |
第1回 ガイダンス 第2回 明治憲法の制定 第3回 第一議会の動向 第4回 第二議会の動向 第5回 第三議会の動向 第6回 第四議会の動向 第7回 第五、第六議会と日清戦争の勃発 第8回 日清戦後における議会の動向 第9回 日清戦後の国際情勢 第10回 日露戦争の勃発 第11回 日露戦争の経過と議会の動向 第12回 日露戦争の影響〜その国際的評価と軍事戦略の変化 第13回 日露戦争の影響〜大正デモクラシーの胎動 第14回 日露戦後における議会の動向 第15回 進路調節のため未定 |
教科書 | |
参考書 |
原田敬一『日本近現代史B 日清・日露戦争』(岩波新書、2007年) 坂野潤治『明治憲法体制の確立』(東京大学出版会、1971年) 山室信一『日露戦争の世紀―連鎖視点から見る日本と世界―』(岩波新書、2005年) |
教科書・参考書に関する備考 | おもに授業で配布するレジュメにそって講義をする。 |
成績評価方法 | 授業への出席と提出物…3割、定期試験…7割 |
履修上の注意 |
受講者には、毎回授業中に5〜10分程度の時間を使って、授業を聴いて理解できたことに対して「自分はどう考えるのか」を書いてもらい、毎回提出してもらう。これらは授 業の第8回と最終回に評価をして返却するが、この評価は全体の成績評価にも加えるので、授業に出席し、なおかつ「自分なりの意見」が持てない場合は、必然的に成績評価も下がることになる。 定期試験は2000字程度で、与えられたテーマを論じる。 |
教員メッセージ | 日清戦争や日露戦争に興味がある、あるいは議会の役割や世論の影響力について考えてみたい学生に受講をすすめる。講義の対象となる時期は1890年〜1905年と短いので詳細な内容にふれるつもりだが、一方でこの時期の歴史について知識のない学生も多いので、基礎的な事項にはその都度解説も加えるつもりである。 |
学習・教育目標との対応 | JABEE基準 (a)多面的に物事を考える能力 の達成に寄与する。 |
関連科目 | 2008年度 日本近現代史A、2009年度 日本近現代史A |
備考 |