開講学期 | 2009年度 前期 |
授業区分 | 週間授業 |
対象学科 | 全学科 |
対象学年 | 2 |
必修・選択 | 選択 |
授業方法 | 講義 |
授業科目名 | 日本近現代史A |
単位数 | 2 |
担当教員 | 永松俊雄、一瀬啓恵 |
教員室番号 | Q301非常勤講師室 |
連絡先(Tel) |
5648 |
連絡先(E-mail) | CZE15657@nifty.com |
オフィスアワー | 毎週水曜日 |
授業のねらい |
日本近現代史Aでは、「明治前期の対外政策と国内世論」をテーマとする。 「尊王攘夷」を掲げて江戸幕府を倒した「討幕派」の人々は、明治新政府を発足させると直ちに「公議世論」・「開国和親」を表明し、近代国家の建設に着手した。ところで「攘夷」と「開国和親」は実をいうと全く相反する方針であり、新政府は、最初から討幕を支持した人々の「世論」を「裏切り」ながら、さまざまな改革を推し進めていったことになる。しかしこのことは、新政府の国内政治に、あるいは外交政策に多くの困難をもたらした。たとえば明治初年に続発した外国人殺傷事件などの攘夷運動は、場合によっては「列強による日本の植民地化」を招来する危険性をはらんでおり、欧米列強といかに対峙していくかは重要な課題となった。また発足当初から、明治新政府の内部は決して一枚岩ではなく、国家構想や外交政策をめぐるさまざまな対立があり、このことが西南戦争のような内乱の勃発、有力者の下野や政変による失脚など政権の混乱を招いた。一方、明治新政府が「公議世論」を方針に掲げたことは、その実現のための自由民権運動が激化すると、議会開設に消極的な明治政府を批判する根拠となり、自らを「世論」の動向を無視できない立場に追い込むことになるが、このために国内政治の混乱や不満のはけ口として外交が利用されることとなり、明治新政府の東アジア外交はいきおい強硬にならざるを得ない側面があった。 このように、明治前期の外交方針や政策は、国際情勢やそのなかでの日本の立場、政府内部の対立や「世論」の動向など国内情勢が複雑に絡み合いながら決定されていったとみられるが、では具体的にこれらの条件のもと決定された外交方針や政策はどのような性格を持つものだったのだろうか。またそのなかで「世論」はどのような影響力をもったのだろうか。そこでこの講義では、明治前期の明治政府の外交政策がどのような方針のもとで展開され、また列強諸国との関係がどのように配慮されたか、さらには政府内部の対立や世論にみられる対外観などがどのような影響を与えたか、などを検討する。 |
到達度目標 |
1)明治前期の対外政策がどのようなものだったか、特に東アジア外交を中心に詳細を把握する。 2)明治前期の世論の動向が、国内政治や外交方針にどのような影響を与えたか考察する。 3)明治前期の国内情勢や外交がどのようなものだったかを理解することで、「明治国家」とはいかなる特質をもった国家だったのか考える。 |
授業計画 |
第1回 ガイダンス 第2回 明治初年の対外観 第3回 対朝鮮外交と世論の動向 第4回 廃藩置県との政治過程 第5回 琉球問題と世論の動向 第6回 征韓論政変と台湾出兵 第7回 樺太・千島交換条約の締結 第8回 江華島事件と日朝修好条規 第9回 士族反乱と西南戦争 第10回 朝鮮に対する世論の動向 第11回 自由民権運動と外交批判 第12回 琉球処分と世論の動向 第13回 壬午軍乱 第14回 甲申事変、全体のまとめ 第15回 進度調節のため未定 |
教科書 | |
参考書 |
永井秀夫『明治国家形成期の外政と内政』(北海道大学図書刊行会、1990年) # 井上勝生『日本近現代史@ 幕末・維新』(岩波新書、2006年) # 牧原憲夫『日本近現代史A 民権と憲法』(岩波新書、2006年 |
教科書・参考書に関する備考 | おもに授業で配布するレジュメにそって講義をする。 |
成績評価方法 | 授業への出席と提出物…3割、定期試験…7割 |
履修上の注意 |
受講者には、毎回授業中に5〜10分程度の時間を使って、授業を聴いて理解できたことに対して「自分はどう考えるのか」を書いてもらい、毎回提出してもらう。これらは授業の第8回と最終回に評価をして返却するが、この評価は全体の成績評価にも加えるので、授業に出席し、なおかつ「自分なりの意見」が持てない場合は、必然的に成績評価も下がることになる。 定期試験は2000字程度で、与えられたテーマを論じる。 |
教員メッセージ | 講義で扱う時期は1868年〜1884年と比較的短いが、明治維新や明治前期における国内情勢と外交の関係、自由民権運動、あるいは外交一般に興味のある学生に受講をすすめたい。またこの講義は、2008年度に開講した「日本の歴史」の講義内容とも関連がある。講義のなかでは、高等学校程度の日本史の知識がなくても修得が可能なように、基礎的な事項にも解説を加えるつもりである。 |
学習・教育目標との対応 | JABEE基準 (a)多面的に物事を考える能力 の達成に寄与する。 |
関連科目 | 2008年度 日本の歴史 |
備考 |