開講学期 | 2008年度 前期 |
授業区分 | 週間授業 |
対象学科 | 全学科 |
対象学年 | 1 |
必修・選択 | 選択 |
授業方法 | 講義 |
授業科目名 | 日本の憲法 (建設・電電・材物・応化) |
単位数 | 2 |
担当教員 | 奥野恒久 |
教員室番号 | N−657 |
連絡先(Tel) | 0143−46−5821 |
連絡先(E-mail) | okuno@mmm.muroran-it.ac.jp |
オフィスアワー | 月曜日17時〜18時、水曜日10時30分〜11時30分 |
授業のねらい |
「格差」が問題となっている今の日本では、働き方や教育・福祉、そして平和のあり方も揺れ動いています。2009年には、裁判員制度もはじまり私たちが「裁判をする側」になりうるのです。あらゆることが大きく揺れ動くなか、この国は今、どのような方向に向かっているのでしょうか。国家の根本法である憲法との関係でいえば、教育基本法の「改正」や、自衛隊の海外「派遣」などが問題になりましたし、改憲論もくすぶっています。 では、私たちはこれらの問題にどう向き合えばいいのでしょうか。本講義では、そのための前提作業として、日本国憲法の発するメッセージについて、歴史的に培われてきた憲法理論、裁判所による判例、専門の研究者による学説、さらには人々の運動や意識などを参照しながら考えていきます。 |
到達度目標 |
1.憲法とはどのような法で、立憲主義とはどのような考え方かを理解する。 2.近代から現代への歴史発展のなかで、憲法というものがどのように変遷していったかを理解する。 3.基本的な理論や学説・判例を知る。 4.たとえば、集団的自衛権や裁判員制度など、憲法にかかわる問題について考え、自分の主張ができるよう になる。 5.現在の日本社会のありようについて考える。 |
授業計画 |
1.はじめに なぜ、工業大学で憲法を学ぶのか?、講義の進め方と評価、日本国憲法の構造 2.憲法と立憲主義 近代立憲主義、自由主義と民主主義 pp.1-10 3.日本の裁判制度と違憲審査制 三審制、付随的審査制と抽象的審査制 pp.146-158 4.日本国憲法の制定過程 明治憲法と日本国憲法、「押し付け憲法」論 pp.10-13 5.人権尊重主義と人権の限界 人権の分類、新しい権利、公共の福祉 pp.26-44 6.法の下の平等 平等をめぐる歴史、立法目的と目的達成の手段、尊属殺重罰規定違憲判決 pp.45-52 7.身体の自由と刑事手続 罪刑法定主義、無罪の推定、裁判員制度 pp.79-87 8.信教の自由と政教分離 目的効果基準、津地鎮祭訴訟、靖国問題 pp.53-59 9.表現の自由 表現の自由とプライバシー、二重の基準論 pp.61-70 10.経済的自由 経済的自由をめぐる歴史、小売市場事件、積極・消極二分論 pp.70-78 11.生存権 自由権と社会権、生存権の法的性格、朝日訴訟 pp.102-108 12.日本の平和政策の変遷 警察予備隊から自衛隊の海外「派遣」、国連憲章 pp.173-176 13.日本国憲法の平和主義 平和的生存権、9条をめぐる学説と判例 pp.166-173 14.国民主権と選挙をめぐる諸問題 ナシオン主権とプープル主権、選挙制度 pp.122-129,137-141 15.補足とまとめ |
教科書及び教材 |
平野武、片山智彦、奥野恒久『増補版・基礎コース憲法』(晃洋書房、2008年)、2200円。 毎回レジュメを配布します。欠席した人用に、奥野研究室前の棚に残ったプリントを2週間程度置いておきますので、欠席した人は各自取りに来てください。教科書にも付いていますが、日本国憲法の条文はいつでも見れるようにしておいてください。 |
参考書 |
民主主義科学者協会法律部会編 法律時報増刊『改憲・改革と法』(日本評論社、2008年)、3900円。 浦部法穂『憲法学教室・全訂第2版』(日本評論社、2006年)、3700円。 辻村みよ子『憲法・第2版』(日本評論社、2004年)、3800円。 芦部信喜・高橋和之穂訂『憲法・第4版』(岩波書店、2007年)、3000円。 憲法研究所・上田勝美編『日本国憲法のすすめ』(法律文化社、2003年)、2400円。 澤野義一、井端正幸、元山健、出原政雄編『総批判改憲論』(法律文化社、2005年)。 |
成績評価方法 | 学期末試験(80点)、数回行う授業中のものを含むレポート(20点)。100点満点とし、60点以上を合格とします。方針を変更するときは、事前に連絡します。 |
履修上の注意 | 再試や追試は行いません。したがって、不合格者は再履修をしてもらうことになります。病気など、やむにやまれぬ事情のある場合は、試験日の前日までに連絡をください。個別に対応します。 |
教員メッセージ |
担当者は、講義に全力投球することを約束します。どうか、受講生の皆さんも、この講義で何かを得たい、という意欲を持って前向きに参加してください。 担当者は月に一度、室蘭市民と「憲法を学ぶ会」、学生と「室蘭工大・憲法研究会」を開いて一緒に勉強しています。関心のある人は、ご一報ください。 |
学習・教育目標との対応 |
JABEE基準 (a)地球的視点から多面的に物事を考える能力 (b)技術者が社会に対して負っている責任に関する理解 |
関連科目 | 平和と憲法、現代民主主義論、基本的人権論、地方自治論、ゼミナール「市民と公共」 |
備考 | 社会が苦手だったという人も、一緒に勉強しましょう。これを機会に、「憲法についても語れるようになりたい」という人に、是非履修してもらいたいものです。質問などある人は、気軽に研究室を訪ねてください。 |