開講年度 2007
教育課程名 副専門教育課程 コース別科目
授業科目番号 27
授業科目名 基本的人権論
開講曜日と時限
教室番号
開講学期 前期
単位数 2
対象学科・学年 全学科3年
必修・選択の別 選択
授業方法 講義
担当教員 奥野恒久(Okuno Tunehisa)
教員室番号 N-657
連絡先(Tel) 0143-46-5821
連絡先(E-Mail) okuno@mmm.muroran-it.ac.jp
オフィスアワー 月曜日18時〜19時、木曜日10時30分〜11時30分
授業のねらい 近代立憲主義の成立から現代民主主義国家への変遷、そして現在推進されている新自由主義改革。私たちは今、どのような時代・社会を生きているのでしょうか。このような問題関心のもと、刑事手続、労働、環境、平和をめぐる様々な問題について、憲法論、人権論の視点から考えていきます。
到達度目標 1.犯罪、労働、平和をめぐる現状、とりわけ問題点を知る。
2.それら問題を解決するための方途を、憲法理論や裁判例、日本国憲法をはじめとする様々な法律の解釈を通じて探る。
3.「構成要件論」や「二重の基準論」、「立証責任」など法律学特有の議論や考え方を最低限理解する。
4.議論や問題状況の整理と自らの主張をできるようにする。
授業計画 1.近代立憲主義と刑事手続
   警察権力の統制、罪刑法定主義、刑事手続
2.犯罪論
   犯罪の成立、構成要件、違法性、有責性
3.刑事政策論
   厳罰化・死刑制度の是非
4.日本国憲法の「教育」観
   旭川学力テスト訴訟、教育基本法「改正」
5.教育現場での思想・良心の自由
   「日の丸・君が代」訴訟、「愛国心」
6.公務員の政治的権利
   猿払事件、二重の基準論、憲法改正国民投票運動
7.近代憲法と現代憲法
   自由権と社会権、アメリカにおける憲法革命
8.職に就くことと法
   憲法と労働法、派遣労働、三菱樹脂事件
9.労働条件をめぐる問題
   労働時間、ホワイトカラー・エグゼンプション、賃金
10.職を辞することと法
   解雇権濫用の法理
11.労働者の権利
   労働組合、労働三権、東京中郵事件、都教組事件
12.憲法9条解釈と民主主義
   砂川事件、統治行為論
13.平和をめぐる日本の現況
   専守防衛から自衛隊の海外「派遣」へ
14.平和的生存権論の今日的・積極的意義
    長沼訴訟、直接的・構造的暴力の克服
15.平和的生存権論の裁判規範性
    被害者にも加害者にもならない権利

教科書及び教材 教科書は使用しません。毎回、レジュメをを配布します。欠席した人用に、奥野研究室前の棚に残部を2週間程度置いておきます。
『デイリー六法』(三省堂)など、何でもいいですから、日本国憲法、労働基準法、国連憲章、教育基本法などをすぐ見ることができるようにしてください。
参考書 平野武ほか『基礎コース憲法』(晃洋書房、2006年)、浜井浩一ほか『犯罪不安社会』(光文社新書、2006年)、浜村彰ほか『ベーシック労働法』(有斐閣アルマ、2004年)、西谷敏『規制が支える自己決定』(法律文化社、2004年)、森岡孝二『働きすぎの時代』(岩波新書、2005年)、橘木俊詔『格差社会』(岩波新書、2006年)、中野麻美『労働ダンピング』(岩波新書、2006年)、最上敏樹『いま平和とは』(岩波新書、2006年)、松井芳郎『国際法から世界を見る』(東信堂、2004年)、渡辺治・後藤道夫編『「新しい戦争」の時代と日本』(大月書店、2003年)、小池政行『現代の戦争被害』(岩波新書、2004年)、田中伸尚『憲法九条の戦後史』(岩波新書、2005年)
成績評価方法 学期末試験の得点(90点)と、時折課すレポート(10点)とで評価し、60点以上を合格とします。方針を変更する場合は、事前に連絡いたします。
履修上の注意 追試や再試は行いません。病気などやむにやまれぬ事情が生じたさいには、学期末試験の前に連絡をください。個別に対応します。
教員からのメッセージ 担当者は、講義に全力投球することを約束します。どうか、受講生の皆さんも、この講義で何かを得たいという意欲を持って前向きに参加してください。
担当者は月に一度、室蘭市民と「憲法を学ぶ会」、学生と「室工大・憲法研究会」を開き、一緒に勉強しています。関心のある人はご一報ください。
学習・教育目標との対応 JABEE基準
(a)地球的視点から多面的に物事を考える能力
(b)技術者が社会に対して負っている責任に関する理解
関連科目 憲法を履修していることが望ましい。さらに関心のある人は、4年生の現代憲法演習に参加してください。
その他 質問等のある人は、気軽に研究室を訪ねてください。