開講年度 2007
教育課程名 副専門教育課程 コース別科目
授業科目番号 18
授業科目名 平和と憲法
開講曜日と時限 月曜日 9,10時限
教室番号 N405
開講学期 後期
単位数 2
対象学科・学年 全学科2年
必修・選択の別 選択
授業方法 講義
担当教員 奥野恒久(Okuno Tunehisa)
教員室番号 N-657
連絡先(Tel) 0143-46-5821
連絡先(E-Mail) okuno@mmm.muroran-it.ac.jp
オフィスアワー 月曜日10時30分〜11時30分、木曜日18時〜19時
授業のねらい イラクをはじめ、今でも世界からは戦火が絶えません。徹底した非軍事平和主義を掲げる日本国憲法のもと、私たちはこのような世界とどう向き合えばいいのでしょうか。そもそも平和とは、戦争のない状態だけを指すのでしょうか。本講義では、「平和」について憲法学の観点から考えて行きますが、同時に戦後の歴史も振り返ります。そのうえで、いま私たちの「立っている位置」確認し、問題があるのであればそれを克服する憲法理論を検討します。さらには、平和について議論をしていきます。
到達度目標 1.平和をめぐる現状、とりわけ問題点を知る。
2.それら問題を解決するための方途を、憲法理論や裁判例、日本国憲法の解釈を通じて探る。
3.国連のしくみや国際法、そして戦後史など平和について考える基礎的な知識を得る。
4.「統治行為論」や「付随的審査制」など憲法学特有の議論や考え方を理解する。
5.議論や問題状況の整理とグループ・ディスカッション等を通じて自らの主張をできるようにする。
授業計画 1.はじめに
   講義の進め方と評価について。立憲主義と改憲論
2.憲法をめぐる戦後史I
   憲法9条の誕生、「押し付け憲法論」
3.憲法をめぐる戦後史II
   日本の独立と日米安保体制
4.憲法をめぐる戦後史III
   高度経済成長期の憲法運用、解釈改憲
5.憲法をめぐる戦後史IV
   新自由主義と軍事大国化、小選挙区制の導入
6.警察予備隊違憲訴訟と憲法裁判所問題
   違憲審査制度、付随的審査制
   WS1「日本政治への提言」
7.砂川事件と統治行為論
   9条をめぐる学説と判例
8.長沼訴訟と平和的生存権
   平和的生存権の裁判規範性
9.自衛隊イラク派遣違憲訴訟
   被害者にも加害者にもならない権利、平和的生存権論
   WS2「改憲論を考える」
10.平和を維持する国際機関
   国際連盟と国際連合、集団安全保障
11.戦争違法化の歴史
   戦時国際法、不戦条約、国連憲章
12.戦争を支える宗教政策
   靖国問題、政教分離
   WS3「日本の国連安全保障理事会常任理事国入り問題」
13.戦争と教育
   教育基本法「改正」問題、「愛国心」
   WS4「首相の靖国神社参拝問題」
14.戦争を支える言論統制
   二重の基準論、言論規制の現状
   WS5「教育問題を考える」
15.戦争と格差社会
   「もの言えぬ」人々、民間による戦争支援体制

教科書及び教材 教科書は使いませんが、野中俊彦・江橋崇『憲法判例集・第9版』(有斐閣新書、2004年)を6回目の講義から必ず持ってきてください。
参考書 平野武ほか『増補版・基礎コース憲法』(晃洋書房、2006年)、最上敏樹『いま平和とは』(岩波新書、2006年)、松井芳郎『国際法から世界を見る』(東信堂、2004年)、渡辺治・後藤道夫編『「新しい戦争」の時代と日本』(大月書店、2003年)、小池政行『現代の戦争被害』(岩波新書、2004年)、田中伸尚『憲法九条の戦後史』(岩波新書、2005年)、豊下楢彦『集団的自衛権とは何か』(岩波新書、2007年)
成績評価方法 学期末試験の得点(80点)と、時折課すレポート・小テスト・グループ発表(20点)とで評価し、60点以上を合格とします。方針を変更する場合は、事前に連絡いたします。
履修上の注意 追試や再試は行いません。したがって、不合格者は再履修してもらうことになります。病気などやむにやまれぬ事情が生じたさいは、学期末試験の前に連絡をください。個別に対応します。
教員からのメッセージ 担当者は、講義に全力投球することを約束します。どうか、受講生の皆さんも、この講義で何かを得たいという意欲を持って前向きに参加してください。
担当者は月に一度、室蘭市民と「憲法を学ぶ会」、学生と「室蘭工大・憲法研究会」を開いて、一緒に勉強しています。また、「市民と公共コース」のサブゼミとして、「社会を知るための読書会」を開こうと考えています。関心のある人はご一報ください。
学習・教育目標との対応 JABEE基準
(a)地球的視点から多面的に物事を考える能力
(b)技術者が社会に対して負っている責任に関する理解
関連科目 「日本の憲法」を履修していることが望ましい。今後の関連科目は、「市民と公共」コース、3年次の「基本的人権論」、4年次の「ゼミナール・市民と公共A]です。
その他 質問などのある人は、気軽に研究室を訪ねてください。