開講年度 2007
教育課程名 副専門教育課程 コース別科目
授業科目番号 35
授業科目名 日本近現代史A
開講曜日と時限
教室番号
開講学期 前期
単位数 2
対象学科・学年 全学科2年
必修・選択の別 選択
授業方法 講義
担当教員 一瀬啓恵(Ichinose, Norie)(非常勤講師)
教員室番号 N355(共通講座棟非常勤講師控室)
連絡先(Tel)
連絡先(E-Mail) CZE15657@nifty.com
オフィスアワー 毎週水曜日
授業のねらい  日本近現代史Aでは、「明治前期における外交と国内情勢」をテーマとする。
 討幕により発足した明治新政府は、外交においても国内政治においてもさまざまな問題を抱えていた。近年の日本史研究では、幕末から明治維新にかけての日本に対する列強諸国の「外圧」は、中国に対するものほど強いものではなく、「植民地化の危機」もなかったといわれているが、欧米諸国との不平等条約のもと「半主国」として位置づけられた日本の国内には、いまだに「攘夷」の風潮が残り、対外的危機観があったことも確かである。またこのことと関連するのは、国際情勢におけるイギリスとロシアの対立である。両国の動向は、日本を含めた東アジアにとって決して無視できるものではなく、そのことが日本の外交方針にも一定の影響を与えた。一方、発足当初から明治新政府の内部には国家構想や外交政策をめぐるさまざまな対立があり、このことが西南戦争のような内乱の勃発、あるいは明治前期にみられる有力者の下野や政変による失脚など政権の混乱を招いた。また民権運動の激化など議会開設の機運もあり、いわゆる「世論」の動向を無視できない状況がでてきたのもこの時期である。
 このように、明治前期の外交方針や政策は、国際情勢やそのなかでの日本の立場、政府内部の対立や「世論」の動向など国内情勢を考慮にいれつつ決定されていったとみられるが、では具体的にこれらの条件のもと決定された外交方針や政策はどのような性格を持つものだったのだろうか。そこでこの講義では、明治初年から憲法制定にいたるまでの、明治政府の外交政策がどのような方針のもとで展開され、また列強諸国との関係がどのように配慮されたか、さらには政府内部の対立や世論にみられる対外観などがどのような影響を与えたか、などを検討する。
 
到達度目標 1)明治初年から明治憲法制定・国会開設にいたるまで(明治前期)の、基本的な歴史的事実を把握するとともに、この時期の外交がどのように行われたのかを理解する。

2)外交方針や政策の決定過程において、国際情勢や国内情勢がどのような影響を与えるのか考察する。

3)明治前期の外交のあり方を理解することで、「明治国家」とはいかなる特質をもった国家だったのか考える。
授業計画 第1回  ガイダンス
第2回  五箇条の誓文と国内情勢
第3回  岩倉使節団の派遣
第4回  琉球藩の設置
第5回  征韓論政変
第6回  台湾出兵
第7回  樺太・千島交換条約の締結
第8回  江華島事件と日朝修好条規
第9回  琉球処分
第10回 壬午軍乱
第11回 甲申事変
第12回 鹿鳴館外交への批判
第13回 三大事件建白運動にみえる対外観
第14回 第1回帝国議会の動向、全体のまとめ
第15回 進度調節のため未定
教科書及び教材 特になし。おもに授業で配布するレジュメにそって講義をする。
参考書 永井秀夫『明治国家形成期の外政と内政』(北海道大学図書刊行会、1990年)
井上勝生『日本近現代史1) 幕末・維新』(岩波新書、2006年)
牧原憲夫『日本近現代史2) 民権と憲法』(岩波新書、2006年)
成績評価方法 100点を満点とし、60点以上が合格。評価の配分は、授業中のレポート…3割、定期試験…7割
履修上の注意  受講者には、毎回授業中に5〜10分程度の時間を使って、授業を聴いて理解できたことに対して「自分はどう考えるのか」を書いてもらい、毎回提出してもらう。これらは授業の第8回と最終回に評価をして返却するが、この評価は全体の成績評価にも加えるので、授業に出席し、なおかつ「自分なりの意見」が持てない場合は、必然的に成績評価も下がることになる。
 定期試験は2000字程度で、与えられたテーマを論じる。
 
教員からのメッセージ  講義で扱う時期は1868年〜1890年と比較的短いが、明治維新や自由民権運動、明治憲法の制定、あるいは外交一般に興味のある学生に受講をすすめたい。またこの講義は、2006年度に開講した「日本の歴史」の講義内容のつづきでもある。講義のなかでは、高等学校程度の日本史の知識がなくても修得が可能なように、基礎的な事項にも解説を加えるつもりである。
学習・教育目標との対応 JABEE基準 (a)多面的に物事を考える能力 の達成に寄与する。
関連科目 2006年度日本の歴史、2007年度日本近現代史B
その他