開講年度 2006
教育課程名 昼間コース 副専門教育課程 コース別科目
授業科目番号 20
授業科目名 憲法
開講曜日と時限 木曜日3〜4時限(10:25〜11:55)
教室番号 N205
開講学期 後期
単位数 2単位
対象学科・学年 全学科3年
必修・選択の別 選択
授業方法 講義
担当教員 奥野恒久(Okuno Tsunehisa)
教員室番号 N-657
連絡先(Tel) 0143-46-5821
連絡先(E-Mail) okuno@mmm.muroran-it.ac.jp

オフィスアワー
授業のねらい 日本の政治制度も、教育や福祉、そして平和のあり方も揺れ動いており、これからこの社会はどうなるのだろう、という不安をもちます。国家の根本法である憲法との関係でいえば、靖国問題や日米安保問題などを日々目にしますし、改憲論も声高に主張されています。では、私たちはこれらの問題にどう向き合えばいいのでしょうか。本講義では、その前提作業として、日本国憲法の発するメッセージについて、歴史的に培われてきた憲法理論、裁判所による判例、専門の研究者による学説、さらには人々の運動などを参照しながら考えていきます。
到達度目標 1.憲法とはどのような法で、立憲主義とはどのような原理かを理解する。
2.近代から現代への歴史発展のなかで、憲法というものがどのように変遷していったかを理解する。
3.基本的な理論や学説・判例を知る。
4.たとえば、首相の靖国神社参拝などの憲法問題について考え、自分の主張ができるようになる。
5.現在の日本社会について考える。
授業計画 1.はじめに
   講義の進め方と成績評価について。臨時国会召集、新総理の誕生を受けて。日本の政治制度
2.憲法と立憲主義 pp.1-10
   近代立憲主義、近代憲法と現代憲法
3.日本の裁判制度と違憲審査制 pp.146-158
付随的審査制と抽象的審査制、統治行為論
4.日本国憲法の制定過程 pp.10-13
   明治憲法と日本国憲法、「押し付け憲法」論、八月革命説
5.人権尊重主義と人権の限界 pp.26-44
人権の分類、「公共の福祉」論、新しい権利
6.法の下の平等 pp.45-52
   立法目的と目的達成の手段、尊属殺重罰規定違憲判決
7.信教の自由と政教分離 pp.53-59
   目的効果基準、津地鎮祭訴訟、靖国問題
8.身体の自由と刑事手続 pp.79-87
   罪刑法定主義、無罪の推定、犯罪の成立要件、裁判員制度
9.表現の自由 pp.61-70
   二重の基準論、ビラ配布事件
10.経済的自由 pp.70-78
   「規制緩和」、小売市場事件、積極・消極二分論
11.生存権 pp.102-108
   自由権と社会権、生存権の法的性格、朝日訴訟
12.戦後日本の平和政策の変遷 pp.173-176
   日本の再軍備、自衛隊の海外「派遣」
13.日本国憲法の平和主義 pp.166-173
   平和的生存権、9条をめぐる学説と判例
14.国民主権と選挙をめぐる諸問題 pp.122-129,pp.137-141
   ナシオン主権とプープル主権、選挙制度、議員定数不均衡問題
15.地方自治と民主主義
   自治体による平和政策、地方分権と地方自治、直接民主主義
教科書及び教材 平野武、片山智彦、奥野恒久『増補版・基礎コース憲法』(晃洋書房、2006年)、2200円。
毎回、レジュメを配布します。欠席した人用に、奥野研究室前の棚に残部を2週間程度置いておきます。欠席した人は、各自取りに来てください。
六法などで、日本国憲法の条文をすぐに見れるようにしておいてください。
参考書 憲法研究所・上田勝美編『日本国憲法のすすめ』(法律文化社、2003年)、2400円
浦部法穂『憲法学教室・全訂第二版』(日本評論社、2006年)、3700円
辻村みよ子『憲法・第二版』(日本評論社、2004年)、3800円
澤野義一、井端正幸ほか編『総批判改憲論』(法律文化社、2005年)
成績評価方法 学期末試験(90点)、数回行う授業中レポート(10点)。100点を満点とし、60点以上が合格です。方針を変更するときには事前に連絡いたします。
履修上の注意 再試や追試は行いません。したがって、不合格者は再履修をしていただくことになります。病気など、やむにやまれぬ事情のある場合は、試験日の前日までに連絡をください。個別に対応します。
教員からのメッセージ 担当者は、講義に全力投球することを約束します。どうか、受講生の皆さんも、この講義で何かを得たい、という意欲を持って前向きに参加してください。
担当者は月に一度、室蘭市民と「憲法を学ぶ会」、学生と「室蘭工大・憲法研究会」を開き、一緒に勉強しています。関心のある人はご一報ください。
学習・教育目標との対応 JABEE基準
(a)地球的視点から多面的に物事を考える能力
(B)技術者が社会に対して負っている責任に関する理解
関連科目 現代民主主義論、現代自由論、基本的人権論、現代憲法演習
その他 社会が苦手だったという人も、一緒に勉強しましょう。これを機会に、「憲法について関心を持ちたい」という人に、是非履修してもらいたいです。
質問などある人は、気軽に研究室を訪ねてください。