科目概要

対象年度
2005
教育課程名
博士前期課程 専攻別科目
授業科目名
材料物性工学特別講義
Subject Name
Special Lecture on Materials Science
単位数
2
必修・選択の別
選択
対象学科・学年
材料物性工学専攻 2年
開講時期
前期
授業方法
講義
担当教員
粟倉康弘(非常勤講師・京都大学大学院工学研究科材料工学専攻・教授・工博)
教員室番号
連絡先(Tel)
平井伸治:0143-46-5636
連絡先(E-Mail)
平井伸治:hirai@mmm.muroran-it.ac.jp


シラバス

授業のねらい
 この講義は、本学の教員以外の外部の講師による材料物性工学に関する講義である。
 材料物性工学に関する最近の話題や、本学においては開講されていないような学問分野についての基礎あるいは応用の講義を行う。2名の講師が各1単位担当し、講義内容も異なる。
授業の目標
 材料生産技術の中でも表面処理を取り上げ、下記の最先端技術について理解を深める。
(1)より安価で高効率な太陽電池材料の開発
(2)先端技術を用いた ”めっき” の機構解明と制御
(3)超耐食性合金化表面処理法の開発
(4)新しい無電解めっき技術の開発
(5)非水溶媒を用いる電気化学的表面処理プロセスの開発
授業計画
(1)より安価で高効率な太陽電池材料の開発
 CO2による地球温暖化が深刻な問題となっており、クリーンな代替エネルギーとして太陽光をもちいる太陽電池が注目されている。現在、太陽電池材料としてはシリコン半導体がもちいられているが、理論的なエネルギー変換効率が最も高い CdTe 半導体にターゲットをしぼり、独自に開発した組成をもつ水溶液中のイオンから、半導体膜を直接作製できる電析技術について紹介する。
(2)先端技術を用いた ”めっき” の機構解明と制御
 めっきは材料の耐食性を高めるだけではなく、装飾品のめっきのようにものを美しく見せる役目ももっている。”めっき” はそれ自体新しい技術とは言えないが、めっきの機構、いいかえれば金属が ”美しく” 電析するメカニズムはほとんど解明されていない。そこで最先端の分光学的あるいは電気化学的手法について明らかになった、電析機構について紹介する。
(3)超耐食性合金化表面処理法の開発
 鉄鋼材料は現在および将来にわたっても最も重要な構造材料であるが、その弱点は ”さびる” ことである。このため、耐食性表面処理の研究は長年にわたっておこなわれてきたが、現在、クロムを含む合金めっきが注目されている。しかし、この際もちいられる Cr3+ イオンは水分子との結合が強いため金属クロムに還元するのは容易ではなく、様々な問題を生じてきた。そこで、Cr3+イオンを Cr2+イオンに容易に還元する方法、さらに得られた Cr2+イオンを用いたZn-Cr 合金めっきなどの超耐食性表面処理法について紹介する。
(4)新しい無電解めっき技術の開発
 外部から電気を流さずに、還元剤を使ってプラスチックなどに金属を析出させてめっきを行う無電解めっきは、コンピュータなどのプリント配線基板の製造技術として非常に重要である。無電解めっきにより銅やニッケルを析出させるには、まず最初に還元剤の酸化反応を触媒する「めっき核」をプラスチック上につける「活性化」を要する。酸化チタンコロイドの静電吸着と光触媒反応による金属析出反応を組み合わせた新しい活性化法について紹介する。
(5)非水溶媒を用いる電気化学的表面処理プロセスの開発
 常温・常圧でめっきするための溶媒は水だけではない。室温溶融塩といわれる常温で液体のイオン性化合物や、有機溶媒からのめっきプロセスも、環境負荷の小さな製膜法として注目されている。新しいアンモニウムイミド系の室温溶融塩中での金属イオンの酸化還元挙動に関する基礎研究や、非水溶媒からアルミニウム複合めっき関する研究について紹介する。
教科書及び教材
授業中に随時配布する。
参考書
授業中に随時紹介する。
成績評価方法
講義中の質疑応答とレポートで評価する。
履修条件等
2つの講義に出ることが必要で、学年をまたいでも良い。
教員からのメッセージ
その他
6月中に集中講義を予定している。