授業のねらい |
「対称性」の数理を考察する。対称性の大きさや複雑さをはかる数学的概念に「群」というものがあるが、この講義では特に、対称性の基本「鏡で映す(鏡映変換)」ことから成り立つ群(鏡映群)に焦点をあて、実際に自らの手で様々な鏡映から生じる対称性を計算することにより、対称性の影にひそむ数理に触れる。 |
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授業の目標 |
鏡映群の具体的な計算を通じ、群に対する身体的感覚を養うことにより、今後のより本格的な群論に備えることを目標とする。一方、計算は主に線形変換(あるいは行列)を用いて行われるので、線形代数が具体的に活用される場面に遭遇することで、その活用方法を知ることを目標とする。また鏡映群は、ある条件のもとに限られた種類しか存在しない。その仕組みをおおまかに見ることにより、自然界には限られた対称性しか表れない(例えば、3次元正凸多面体は5種類しかない)ことの謎に迫る。
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授業計画 |
およそ次の予定で授業をすすめる。 (ただし、項目番号と授業の回数は一致しない。)
1.対称性とは, 2.記述の方法(鏡映変換), 3.鏡映変換の固有値, 4.鏡映群, 5.群の公理, 6.鏡映群の種類, など.
また、必要に応じて線形代数の復習を行う。
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教科書及び教材 |
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参考書 |
・ 線形代数の教科書 ・ 原田耕一郎著 「群の発見」 (岩波書店) ・ J. E. Humphreys, Reflection Groups and Coxeter Groups, Cambridge University Press, 1990.
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成績評価方法 |
提出されたレポートの質と量。レポ−ト問題は講義中に提示される。また、講義の後半には演習を現在予定しているが、その演習課題の提出状況も考慮に入れるつもりである。
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履修条件等 |
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教員からのメッセージ |
とにかく計算してもらうことになる予定である。数学はただ漫然と聞いているだけでは、絶対に理解できない。自らが理解したと信じた内容を、自らの手で計算して確かめることが必要不可欠である。自らの手で一つ一つ理解を確立していくことを好む学生を歓迎する。 |
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その他 |
線形変換の行列およびその固有値・固有ベクトルが多用されるので、未習であれば予習しておくことが望ましい。また、群の公理を眺めておくことも有用である。
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