授業のねらい |
現代は激動の時代であるが,これを先行き不透明の混迷の時代と見るか,それとも可能性に富んだ変革の時代と見るか,そのいずれに重点を置くかということは,各人の時代認識にかかっている。この講義は「なりゆきまかせの客体から,自らの歴史をつくる主体」(ユネスコ『学習権宣言』1985年)を形成するために必要な時代状況の科学的認識と課題について解明していきたい。その際,「科学と人間」の相互作用に関わりながら,光合成・土・水・森・海・林業・漁業などを「舞台」として,科学技術を介した人間の活動・相互作用,その産業や社会への影響などをとりあげる。また,大学における研究活動の社会への影響などにも言及する。 |
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授業の目標 |
(1)日本各地の漁民たちの植林の歴史とその背景を知る。 (2)漁民たちの活動の背景となった科学者たちの研究の歴史を知る。 (3)海と陸との物質循環の具体的姿を知る。 (4)科学技術を介した人間の活動・相互作用,その産業や社会への影響を知る。 |
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授業計画 |
第1週 オリエンテーション 第2・3週 北海道えりものコンブ漁師たちによる50年間の緑化(草地化・植林)活動 第4週 北海道常呂(ところ)漁協の植林活動 第5・6週 大分県姫島(ひめしま)──明治中期の魚附林復活事業と今日の島民の「支え合う暮らし」 第7週 「ニシン山に登る」と三浦正幸北海道立林業試験場特別研究員 第8週 「森が歌う日魚が帰る」 第9週 漁民の植林活動の歴史的背景──20世紀初頭からの近代科学者の森と海の関連に関する研究 第10・11週 森林・林業の現況および保安林制度の歴史 第12週 海における食物連鎖と物質移動 第13週 海から内陸への物質移動と動物・人間の役割 第14・15週 資源とはなにか──大学でのエネルギー・物質循環の研究と地域への貢献 (受講生の理解度,質問,反応によって変更・組み替えもありうる) |
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教科書及び教材 |
(1)教科書:富山和子『環境問題とは何か』PHP新書,2001年,定価(660円+税)(図書館に5冊所蔵あり)。 (2)ビデオ資料の視聴を行う。 (3)授業時に適宜プリント資料を配付する。 |
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参考書 |
(1)柳沼武彦『森はすべて魚つき林』北斗出版,1999年,定価(2000円+税)(図書館に3冊所蔵あり)。 (2)柳沼武彦『木を植えて魚を殖やす』家の光協会,1993年,定価(1262円+税)(図書館に所蔵なし)。 (3)長崎福三『システムとしての<森-川-海>──魚付林の視点から』農産漁村文化協会,1998年,定価(1857円+税)(図書館に2冊所蔵あり)。 (4)武末高裕『ヒトと地球のクスリになる本』NTT出版,1995年,定価(1456円+税)(図書館に3冊所蔵あり)。 (5)木下紀正・八田明夫『地球と環境の科学』東京教学社,2002年,定価(2300円+税)。 |
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成績評価方法 |
定期試験(60%を目途)を主体に,ミニレポート(40%を目途)を加算して成績評定する。 なお,定期試験,ミニレポートそれぞれの成績評定の比率は,受講生数,出席者数,などの状況により多少変動する。 |
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履修条件等 |
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教官からのメッセージ |
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その他 |
教科書(富山和子『環境問題とは何か』PHP新書)の内容は定期試験問題の範囲に含まれるので,授業時以外に通読しておくこと。 |
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