授業のねらい |
日本近現代史Aは、「明治維新像の変遷と国民国家の形成」をテーマとする。 最近の日本近代史研究で、明治維新とは「欧米列強の外圧のもと日本が国民国家を形成する出発点」であるといわれている。このような見方は、明治維新を「ブルジョア革命か絶対主義の成立か」でとらえようとしていた、かつての近代史研究に対する批判から登場したものであるが、歴史研究の分野に限らず、「明治維新の意義とは何か」という問いは、その時々の社会状況と関連して明治初年から現代にいたるまで、常に「新しい課題」として我々の目の前に提示されてきた。 そこでこの講義では、日本近代において「明治維新」像がどのように変化していったのか、その内容を再検討する。 また「明治維新の意義」を問うことは、国民国家の形成過程において「ナショナルアイデンティティを創出するために国民が回帰すべき『起源神話』としての機能を果たした」という見解があるが、これについても考察を加え、いわゆる「国民国家論」の有効性を再吟味する。
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授業の目標 |
明治初期から現代にいたるまでの「明治維新」像の変遷を理解する。またこれを通じて「国民国家論」の特質を理解する。
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授業計画 |
講義回数のうち、前半の6、7回は、明治初期から自由民権運動期、明治20年代から日清戦争期、日露戦争期の明治維新像を、後半の6、7回は、大正期、昭和戦前期、昭和戦後から現代にいたる明治維新像を概観することを予定している。
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教科書及び教材 |
宮澤誠一『明治維新の再創造―近代日本の〈起源神話〉―』(青木書店)を使用する。 参考文献や利用する史料は、授業中に適宜指示する。
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参考書 |
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成績評価方法 |
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履修条件等 |
特になし。高等学校程度の日本史の知識がなくても修得が可能なように、基礎的な事項にも解説を加える。
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教員からのメッセージ |
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その他 |
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