授業のねらい |
「論理」の展開の仕方を、実際の哲学理論の場で具体的に学ぶ。 そのために、近世哲学を拓いたデカルトの主著『省察』を講義する。 また、これと対比する意味で、現代哲学の祖となったフッサールの現象学にも触れる。 |
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授業の目標 |
1.デカルトの『省察』から、論理の展開の仕方を学ぶ。 2.フッサールの現象学から、認識の基本的な構造を知る。 3.両者を通じて、哲学的なものの考え方を追体験し、それに馴染む。 |
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授業計画 |
初回 授業全体の概要 * デカルトの『省察』【10回程度】 ○「方法的懐疑」 ○「私は考える。ゆえに私は存在する。」 ○ 神の存在(第一証明・第二証明) ○ 神の誠実(明晰・判明性の規則) ○ 存在証明に対する批判(循環論証、フォイエルバッハ、カント) ○ 判断の構造 ○ 誤謬の原因 ○ 数学的真理の存在 ○ 神の存在(第三証明) ○ 存在証明に対する批判(カント) ○ 心身の実在的区別 ○物体(身体)の存在 ○心身の結合 ○[時間があれば]デカルト哲学の構造 * フッサールの現象学【4回程度】 ○ 入門―――知覚の場面で ○ 発生的現象学―――「射影」と「地平」、時間意識と「生きた現在」、身体性と「キネステーゼ」 ○ <ノエシス−ノエマ>分析―――「統握」と「意味の核」、「定立」と存在、真理と明証 ○ 作用性格と「基づけ」関係―――表象・感情・意志・表現 ○ 現象学の方法―――「還元」 |
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教科書及び教材 |
二宮著『《私》の哲学史――近世アプリオリズムの認識論・倫理学入門――』第一章分冊、500円 二宮著「フッサール哲学早分り」(『室蘭工業大学紀要』第52号抜刷)、コピー配布 |
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参考書 |
デカルト参考書は数多く、図書館にも豊富である。特にお薦めのものだけを挙げる。 * デカルト入門書として――― ○所雄章『デカルト』勁草書房(1980) ○小泉義之『デカルト=哲学のすすめ』講談社(1996) * デカルトをさらに深く学びたいという人のために――― ○桂寿一『デカルト哲学とその発展』東京大学出版会(1978) * フッサールおよび現象学に関して以下を挙げる。何れも本学図書館に在る。 * 入門のためには次の二著を薦める。少し難しい箇所も在るが挑戦するとよい。 ○加藤精司『フッサール』(<人と思想>72)清水書院(1983)[図書館に5部] ○新田義弘編『フッサールを学ぶ人のために』世界思想社(2000)[図書館に3部] * フッサールを更に深く学びたいという人のために、私が特に良著と思うものとして――― ○新田・常俊・水野編『現象学の現在』世界思想社(1989) ○R.ベルネ等著、千田・鈴木・徳永訳『フッサールの思想』哲書房(1994) * 現象学に関して問題ごとに何かを調べたいというときには――― ○木田・滝浦・立松・新田編『講座・現象学』全4巻、弘文堂(1980) ○木田・野家・村田・鷲田編『現象学事典』弘文堂(1994) |
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成績評価方法 |
学期末のレポートによる。 デカルトないしフッサールに関して、授業をまとめ、さらに自分の考えを論ずる、ということを課題とする。ポイントをよく把握しているか、どれだけ自分の頭で考えているか、によって評価する。 |
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履修条件等 |
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教員からのメッセージ |
哲学から人間の認識を考察するとき、<我々は常に意識の内に生きている>ということの洞察が出発点となる。学生諸君には、何よりもこのことを実感してもらいたい。 |
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その他 |
科目名は、昼間コースにおける「論理の諸問題」と同一だが、実質的内容は、昼間コースにおける「認識の諸形式」に等しい。 昼間コースの授業に出席する場合は、この点を配慮するので、相談されたい。 |
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