科目概要

対象年度
2005
教育課程名
昼間コース 主専門教育課程 学科別科目
授業科目名
量子化学
Subject Name
Quantum Chemistry
単位数
2
必修・選択の別
選択
対象学科・学年
応用化学科 2年
開講時期
前期
授業方法
講義
担当教官
古賀俊勝
教官室番号
H408
連絡先(Tel)
0143-46-5722
連絡先(E-Mail)
koga@mmm.muroran-it.ac.jp


シラバス

授業のねらい
 化学は、物質の構造・物性・反応を原子・分子のレベルで探求する学問である。したがって、原子・分子の持つ様々な化学的性質を明らかにするためには、これらを構成する電子と原子核の力学を理解しなければならない。そこは、量子論の世界である。
 本講では、まず、原子・分子中の電子の3次元の運動を量子力学的に追求する方法を水素原子を例として紹介する。次に、変分法と摂動論という二つの重要な近似法を述べる。さらに、原子の性質とその周期的な変化および分子における化学結合の生成が量子論によって明快に説明される事を講述する。
 この科目は、応用化学科の教育目標のB-1(専門的知識-化学)の達成に寄与する。
授業の目標
1.水素原子を例として3次元の問題の量子論的取り扱いを学ぶ。
2.変分法と摂動論を理解し、ヘリウム原子に応用する。
3.多電子問題の基礎を学び、原子の電子配置と周期律を理解する。
4.簡単な二原子分子を例として、化学結合生成の起源を学ぶ。
授業計画
第1週−第5週 水素原子(第6章)
  第1週 極座標
  第2週 ラプラス演算子の極座標表示・水素原子のSchrödinger方程式
  第3週 球面調和関数
  第4週 水素原子の軌道・s軌道
  第5週 p軌道・d軌道
第6週−第8週 近似的方法(第7章)
  第6週 変分法
  第7週 線形変分法・非線型パラメータ
  第8週 摂動論
第9週−第12週 多電子原子(第8章の一部)
  第9週 原子単位・ヘリウム原子
 第10週 ヘリウム原子のHartree-Fock法・電子スピン
 第11週 電子波動関数の反対称性
 第12週 Slater行列式波動関数・原子のHartree-Fock法
第13週−第15週 二原子分子(第9章の一部)
 第13週 Born-Oppenheimer近似・LCAO近似
 第14周 分子軌道の規格化と重なり積分
 第15週 水素分子イオンの安定性・結合性軌道と反結合性軌道
定期試験
教科書及び教材
 D. A. McQuarrie and J. D. Simon著、千原秀昭・江口太郎・齋藤一弥訳、「物理化学(上)」、東京化学同人
 この教科書は「量子論」(1年次後期開講)および「分子分光学」(2年次後期開講)でも使用する。
参考書
 一般に、「量子論」、「量子力学」、「量子化学」などと題する図書は、いずれも参考となる。
成績評価方法
  定期試験により評価する。再試験は行わない。不合格者は再履修とする。
履修条件等
 本講の内容は、1年次後期開講の「量子論」の履修を前提としている。
教官からのメッセージ
 人間の目で直接には見ることのできない世界を「見る」ための道具は数学的論理です。
その他