対象年度 | 2004 |
教育課程名 | 博士前期課程 専攻別科目 |
授業科目名 | 気体エレクトロニクス特論 |
Subject Name | Advanced Gaseous Electronics |
単位数 | 2 |
必修・選択の別 | 選択 |
対象学科・学年 | 電気電子工学専攻1年 |
開講時期 | 後期 |
授業方法 | 講義および演習 |
担当教官 | 佐藤孝紀(SATOH, Kohki)(電気電子工学科・電気システム工学講座) |
教官室番号 | E-306 |
連絡先(Tel) | 0143-46-5506 |
連絡先(E-Mail) | ksatoh@mmm.muroran-it.ac.jp |
授業のねらい | LSIやメモリ製造工程の超微細加工で用いられるプラズマプロセンシング,高出力レーザー,放電灯等のように,気体放電プラズマの産業応用は多岐にわたっている。このような産業応用において,気体放電プラズマを適切かつ効率よく利用するには,その性質の詳細な理解と自在な制御が必要である。気体放電プラズマの性質は,それを構成する多種の粒子の挙動によって決定されるので,それらの挙動を把握することが気体放電プラズマの性質を理解する上で重要である。 この授業では,気体放電プラズマ中の粒子,特に電子やイオンのような荷電粒子の微視的な振る舞いとプラズマの巨視的性質の関係を学ぶ。また,近年,気体放電プラズマの解析において不可欠な手段となっているモデリングとシミュレーションについて,代表的な手法を取り上げて概要,基本方程式などを説明するとともに,荷電粒子の運動のシミュレーションを行う。 |
授業の目標 | 1.気体放電の基礎過程(荷電粒子の電界下の挙動)を含めたプラズマの基礎を理解する。 2.気体放電プラズマの発生・維持メカニズムを理解する。 3.気体放電基礎過程のモデリングの基礎を習得する。 |
授業計画 | 第1回 イントロダクション ○プラズマとは何か ○気体放電とプラズマ ○プラズマのハイテク産業への応用 第1部 プラズマの基礎 第2回 気体放電の基礎(その1) ○粒子の熱運動 ・位相空間とMaxwell-Boltzmann分布 ○電界下の気体中を運動する電子の振舞い ・速度分布とBoltzmann方程式 ・相似則と換算電界 ・電子エネルギー分布 ○電界下の気体中を運動するイオンの振舞い 第3回 気体放電の基礎(その2) ○粒子の衝突 ・衝突周波数、自由行程、自由時間、衝突断面積 ・ 弾性衝突、非弾性衝突 第4回 プラズマの基礎(その1) ○プラズマの定義 ○プラズマパラメータ(1) ・電離度、プラズマの温度、電子温度 第5回 プラズマの基礎(その2) ○プラズマパラメータ(2) ・Debye長、プラズマシース、プラズマ周波数 第6回 プラズマの基礎(その3) ○プラズマの生成条件 ○プラズマ中の荷電粒子の拡散 ○プラズマの種類 ・熱プラズマ、低温プラズマ 第2部 低温プラズマの生成 第7回 気体中の導電と絶縁破壊 ○気体中の導電のメカニズム ・電子なだれと電離係数 ・1次電離作用と2次電離作用 ○気体の絶縁破壊 ・Townsend理論とStreamer理論 第8回 低温プラズマの生成(その1) ○直流放電プラズマ ・直流放電の発生 ・Paschenの法則 ・直流グロー放電の性質 第9回 低温プラズマの生成(その2) ○容量結合型Radio Frequency(RF)放電 ・RF放電の発生 ・RF放電の自己バイアス ・RF放電と直流放電プラズマの対比 第10回 低温プラズマの生成(その2) ○誘導結合型RF放電 ○マイクロ波放電 ○ECRプラズマとその利点 ○マグネトロンプラズマ 第3部 気体放電プラズマのモデリング 第11回 粒子モデルによる電子の挙動のシミュレーション(演習1) 第12回 ○様々なシミュレーションモデルの概要と粒子モデルの特徴 ○電界が印加された気体中の運動の記述 -飛行、衝突、散乱- ○電磁界下における単一電子の飛行軌道の計算(無衝突) ・直流電界中、RF電界中、電磁界中 第13回 粒子モデルによる電子の挙動のシミュレーション(演習2) 第14回 ○直流電界下における単一電子の飛行軌道の計算(衝突あり) ・モデル衝突断面積の利用 ○直流電界下におけるモデルガス中の電子群の挙動の計算 ・平均エネルギー、移動速度を求める 第15回 シミュレーション結果のプレゼンテーション |
教科書及び教材 | 菅井秀郎 編著「プラズマエレクトロニクス」オーム社[附属図書館所蔵] |
参考書 | 坂本三郎、田頭博昭 著「新高電圧工学」朝倉電気工学講座[附属図書館所蔵] 谷本充司 著「プラズマ」電気書院[附属図書館所蔵] 奥田孝美 著「気体プラズマ現象」コロナ社[附属図書館所蔵] |
成績評価方法 | ・授業では、毎回、出席確認を兼ねて演習問題を課すので(第11〜15回を除く)、その解答を次回の授業までに提出する。 ・第1部および第2部の終わりに演習問題を課す。 ・成績は、上記の演習問題とシミュレーションの結果により評価する。 |
履修条件等 | |
教官からのメッセージ | |
その他 | ○受け入れ学生数(他大学の聴講生合計)は15名とする。 ※遠隔教育による単位互換協定に基づき、この授業を他大学から受講する場合は、以下のシステムが必要です。 ○受講に必要なシステム条件 ・パーソナルコンピュータ OS, 性能は問わないが、電子メール、Web閲覧ソフト、グラフソフト、Microsoft word(あるいはTeX)が動作することが必要。 ・FortranあるいはCコンパイラ 授業計画の第3部のモデリングにおいて使用する。上記のパーソナルコンピュータ上でこれらのコンパイラが動作する必要はないが、計算機センター等において、作成したプログラムをコンパイル、実行できること。 ・グラフソフト 計算結果を可視化できるグラフソフト。原理的にはエクセルのグラフ機能でも可能であるが、専用のものがあるとbetterである。授業計画の第3部のモデリング結果を可視化するために使用する。 ・ワープロ 演習問題の解答を作成するために使用する。Microsoft Wordを推奨する。versionは問わないが、98以降が望ましい。TeXも可であるが、その場はPDFに変換できること。 ・ネットワーク環境 ○受講方法等 ・授業形態は非同期のWEL(Web Base Learning)型である。受講者はweb上の教材で学習し、毎回の授業で課される演習問題の解答を作成して、次回の授業日までに電子メールで提出する。Web上の教材の閲覧時間に制約はない。また、解答のファイル形式は、Microsoft Word、PDF、テキストのいずれかとする。 ・演習問題の解答の提出も上記と同様に電子メールで行う。 ・web上の教材は、授業日の午後に更新(追加)する。 ・受講者への連絡事項は電子メールを用いて行うので、履修登録時に電子メールアドレスを届け出ること。 |