対象年度 | 2004 |
教育課程名 | 昼間コース 主専門教育課程 学科別科目 |
授業科目名 | 熱力学 |
Subject Name | Chemical Thermodymanics |
単位数 | 2 |
必修・選択の別 | 必修 |
対象学科・学年 | 応用化学科1年 |
開講時期 | 後期 |
授業方法 | 講義 |
担当教官 | 見城忠男(Kenjo Tadao)(応用化学科・基礎化学講座) |
教官室番号 | U-210 |
連絡先(Tel) | 0143-46-5721 |
連絡先(E-Mail) | kenjo@mmm.muroran-it.ac.jp |
授業のねらい | 熱力学は高温部から低温部への熱の流れ、高圧部から低圧部へのガスの拡散、化学的に不安定な状態からより安定な状態への変化、などの自然の傾向をエントロピー増大の傾向として一般化し、一つの学問体系にまとめたものである。本講義では、化学に関係の深い化学熱力学の分野に焦点を絞り、科学史的な背景なども折り込みながら、講義を進めたいと思う。 |
授業の目標 | エネルギーとエントロピーは熱力学の基本概念である。エネルギーは一般的な意味での力の源であり、エントロピーは出現確率に関係する。この2つの概念を理解することがこの授業の目標である。化学反応の起こりやすさは、これら2つの因子によって支配されることが理解できれば、授業の目標は達成されたことになる。 |
授業計画 | 授業計画 第1週〜第3週.熱力学第一法則:熱は物質ではなく、エネルギーの一形態である。従って熱から他のエネルギーへの変換に際してはエネルギー保存の法則が成り立つ(3章)。 第4週.カルノーサイクル:機械的エネルギーから熱エネルギーへの変換は100%の効率で行われるのに、熱エネルギーから機械的エネルギーへの変換には上限があることをカルノーが初めて示した(4章 A)。 第5週〜第6週.熱力学第二法則とエントロピーの導入:低温部から高温部に熱が自然には流れないことが熱力学第二法則の本質である。これを数式化することによってエントロピー概念が生まれた(4章 A)。 第7週〜第8週.自由エネルギー:水素を燃やして水になる反応を利用して電気を発生させると、83%が効率の上限である。この83%の部分を自由エネルギーという。また自由エネルギーは化学平衡の判定条件にも用いられ、化学者にとって重要な概念である(5章 A)。 第9週.化学ポテンシャル:温度と圧力がそれぞれ、熱の流れ、体積の移動の方向を支配する因子とすれば、化学ポテンシャルは物質の移動の方向を支配する因子である(6章A)。 第10週.多相平衡:相律、クラペイロンークラウジウスの式、凝固点降下、沸点上昇について述べる(7章)。 第11週.均一多成分系の熱力学:混合エントロピーの導入、溶液化学、活量など(6章A)。 第12週〜第13週.化学平衡:熱力学の化学平衡への応用。化学者にとって最も重要な部分である(5章)。 第14週〜第15週.電池の熱力学:起電力の熱力学的導出。最近注目されている燃料電池やその他の種々の先端的高性能電池の発電原理とその性能について述べる(8章B)。 第16週 定期試験 |
教科書及び教材 | バーロー物理化学(上)第6版(東京化学同人)4200円 |
参考書 | |
成績評価方法 | 期末試験によって行う。60点以上を合格とする。 |
履修条件等 | 熱力学は数学的装いをしているため、微分、積分学の基礎と、力や力学的エネルギーなどの物理学の基礎を理解していることが望ましい。これらは、講義の中でその都度、復習するが、あらかじめ勉強しておくと、一層理解が深まるであろう。 |
教官からのメッセージ | この講義に限らないが、数学や物理学の知識の不足のため講義の内容で理解できない部分に出会ったら、そのまま放置しないで、講義のあと、先生に尋ねるなり、友達に聞くなり、その部分の知識を補う努力をして下さい。本学の図書館に行けば、大抵の場合に間に合います。 |
その他 | オフィスアワー:朝7:30〜9:00の間は会議や講義もないので大抵在室しています。 |